野菜事典 - Veggiepedia

レタス - Veggiepedia

分類:キク科アキノノゲシ属

名称:Lettuce(英)、Laitue(仏)、 レタス・萵苣(ちしゃ)(日本)

「サラダと言えばレタス、レタスと言えばサラダ。」というほど生野菜の代表的な存在のレタス。キク科アキノノゲシ属の一年草または二年草です。種類がとても豊富で、日本で一般的にレタスと呼ばれている玉レタスをはじめ、最近サラダでよく利用されているグリーンリーフレタス、サニーレタスやロメインレタス、焼肉でおなじみのサンチュなどがあります。それぞれの種類ごとに栄養価も異なり、玉レタスなどは淡色野菜として、リーフレタスなどは緑黄色野菜として分類されています。

いずれの種類のレタスも暑さが苦手で冷涼な気候を好むため、日本の各地域の気候に合わせてリレー式に栽培・収穫され、一年を通して市場に出回っています。主な産地は長野県、茨城県、群馬県。時期的にみると春先の3~5月頃と秋の10~12月頃は茨城県辺りから、夏から秋にかけての5~10月頃は長野県や群馬県辺りから、秋から冬、春先までの 10~5月頃は香川県や兵庫県などの比較的暖かい地域から、と時期が途切れることなく出荷されています。

レタスは金属を嫌うため包丁などで切ると切り口が酸化して変色してしまいます。使用するときは手で葉をはがすことをお勧めします。

レタスの保存方法でよく耳にするのが芯の部分を抜き取って濡らしたキッチンペーパーを入れるという方法ですが、切り口からビタミンなどの栄養が失われがちです。なので、濡らしたキッチンペーパーを芯の部分につけてから新聞紙などで包み、袋に入れて保存すると長持ちします。さらに芯の部分に爪楊枝を刺しておくとレタスの成長を遅らせることができるため長持ちします。

歴史

レタスの歴史は古く、野生種は西アジアから地中海沿岸にかけて分布されていたと言われています。栽培は紀元前6世紀頃からアケメネス朝ペルシアで始められたと伝えられています。この頃のレタスは結球していないタイプの葉レタスだったそうです。その後ヨーロッパ各地に伝わり、品種改良が繰り返され、玉レタスなどの結球するタイプやリーフレタスやロメインレタスなどの結球しないタイプなど多種多様なレタスが生まれました。

日本へ伝わったのもかなり古く、奈良時代にはすでに中国から「チシャ」として渡って来たそうです。この頃のレタスは非結球の「掻きチシャ」いわゆる「サンチュ」で、生食ではなくお浸しや味噌汁の具として食されることが主流でした。現在一般的に出回っている玉レタスは、江戸時代末期から明治時代にアメリカから伝わり、さらにサラダの代表的存在として生食されるようになったのは第二次世界大戦以降になります。

種類

レタスにはいくつかの仲間があることから種類がとても豊富。その仲間は大きく4つに分類されます。

  • 玉チシャ
    しっかり結球するタイプとゆるく結球するタイプの2種類があります。この種には現在一般的にレタスと言われる玉レタスやサラダ菜があります。
  • 葉チシャ
    非結球のタイプです。グリーンリーフレタス、サニーレタス、プリーツレタス、オークリーフレタス、フリルレタス、グリーンカール、シルクレタス、ピンクローサ、ブーケレタスなど非常に様々な種類があります。
  • 立ちチシャ
    葉が巻かれずに立っているタイプです。ロメインレタス(コスレタス)がこちらに分類されます。
  • 掻きチシャ、茎チシャ
    茎から葉を掻き取るタイプ。サンチュ(サンチュは韓国名であり、和名は包菜)、ステムレタス(ちしゃとう)などがあります。
  • その他
    レタスではないのですが、近い種類としてエンダイブやチコリがあります。

玉チシャ

玉レタス

玉チシャの代表。日本で一般的にレタスといえばこの玉レタスを指します。しっかり結球するタイプのレタスでパリパリっとした歯触りの良い食感があることから「クリスプヘッド型」や「クリスプヘッドレタス」とも呼ばれています。またキャベツのような形状から「キャベツレタス」と呼ばれることもあります。

玉レタスは成長につれて葉が10枚以上になってから結球していき、球の大きさはだいたい直径10~20cmほどになります。葉に張りがあり巻きがふんわりとして大きさの割に軽めの方が甘味があって美味しいです。

玉レタスは、生のままサラダで食べる他、様々な調理に向いています。ロールキャベツならぬロールレタスとして肉などを巻いて煮込んだり、チャーハンの具や野菜炒めのキャベツの代わりとして炒めたり、また、スープにしても美味しいです。さらに、しゃぶしゃぶとしてお湯にさっとくぐらせてもシャキシャキした食感が楽しめて美味しくいただけます。

サラダ菜

こちらも玉チシャのひとつです。ゆるく結球するタイプのレタスで、バターを塗ったような光沢と、葉が柔らかくて食べると口の中で溶けるような感触であることから「バターヘッド型」または「バターヘッドレタス」とも呼ばれています。玉レタスと比べて葉の色が濃い緑色をしていて、葉肉は厚みがあるのに柔らかいのが特徴です。

サラダ菜という名の通り生のままサラダで食べるのが美味しいのですが、そのほかに焼いた肉や野菜、ご飯などを巻いて食べたり、さっと軽くゆでてお浸しにしても美味しいです。また、色味が濃いため、湯通ししたものをフードプロセッサーなどで攪拌してソースやドレッシングとして使うことにも向いています。

葉チシャ

レタスの中でも一番種類の多いタイプです。いずれも生のままサラダとしていただくのが一般的です。

グリーンリーフレタス(リーフレタス)

全体的に鮮やかな緑色をしているレタスです。葉先がひらひらと細くカール状になっていることから「グリンカ―ルレタス」とも呼ばれています。癖がないため、サラダの他に肉や御飯を巻いたり、スープの具としても美味しくいただけます。

サニーレタス

グリーンリーフレタスに似ていますが、葉先が赤紫色しているレタスです。この色はアントシアニンによるもの。「アカチリメンチシャ」とも呼ばれています。


フリルレタス

グリーンリーフレタスの一種で、葉先がギザギザしているのが特徴のレタスです。葉はやや肉厚で食感は玉レタスのようにシャキシャキしています。全体が緑色のタイプとサニーレタスのように葉先が赤紫色をしたタイプとがあります。

オークリーフレタス

レタスの原型に近いとされるリーフレタスで、樫(オーク)の葉型のような切れ込みがあることからオークリーフと命名されました。葉は柔らかくて甘味とほのかな苦味があります。全体が緑色のタイプとサニーレタスのように葉先が赤紫色をしたタイプとがあります。

シルクレタス

サニーレタスとエンダイブとを交配させて作られた品種のレタスです。食感は玉レタス、色合いはサニーレタス、葉の形状はフリルレタス、といった特徴があります。「ピンクロッサ」または「ピンクロースター」とも呼ばれています。

ブーケレタス

千葉県にある会社が品種改良を重ねたことで生まれた水耕栽培のレタスです。葉が結婚式に花嫁が手にするブーケのような形状をしていることから「ブーケレタス」と命名されました。明るめな薄緑色をしていて、葉先は丸みのある切れ込みがあり、ふんわりと柔らかな食感と味にクセが少なく優しい風味が特徴です。また、他のレタスに比べて5倍ものβカロテンが含まれているのも特徴の1つです。

立ちチシャ

ロメインレタス

シーザーサラダで有名なレタス。縦に長く緩めに結球しますが、葉先は閉じないタイプのレタスです。縮れのない白菜のような形状をしています。エーゲ海のコス島が原産とされていることから「ロメイン(ローマという意味)」または「コスレタス」と命名されています。

肉厚でしっかりしていることから、生のままサラダでいただく他に、炒めたりおひたしにしても美味しくいただけます。

掻きチシャ、茎チシャ

サンチュ(掻きチシャ)

掻きチシャとはカッティングレタスを意味しており、株の成長と共に葉だけを外側から掻きむしるように収穫することから「掻きチシャ」と呼ばれています。日本では「サンチュ」として知られているレタスで、分類的にはリーフレタスの仲間です。韓国料理で有名なレタスですが、実は奈良時代にすでに日本へ渡来しており、レタスの中で日本においてもっとも古くから食されてきたものです。当時は生食ではなく、お浸しなどにして食べていたと言われています。その後、終戦を機に玉レタスが日本で普及したことからしばらく食卓から消えていましたが、焼肉ブームをきっかけとしてまた一般的に食されるようになりました。現在では焼肉などを包んで食べることから「包み菜」とも呼ばれています。

なお、茎の部分は後述するステムレタス(茎レタス)として食されます。

ステムレタス(茎レタス)

中国が原産のレタスで、主に茎の部分を食用とすることから「茎レタス」といいます。また「ちしゃとう」「セルタス」などとも呼ばれています。サンチュ(掻きチシャ)の茎の部分が直径だいたい3㎝ほどになり、長さが40~50㎝ほどになった時点で食されます。茎の皮が非常に硬いため、表面の皮をむいて食します。生のままサラダやナムルのような和え物にして食べる他、炒めたり揚げたりしても美味しくいただけます。

ほんのり苦味があり、アスパラガスのような味に似ていることから「アスパラガスレタス」と呼ぶこともあります。

なかなか見かけないレタスのようですが、実は日本でお漬物としておなじみの山クラゲは、このステムレタスを棒状に切ってから干して乾燥させ、醤油などに漬け込んだものです。

その他

エンダイブ

和名は「キクチシャ」または「ニガチシャ」と呼ばれ、見た目はリーフレタスやフリルレタスに似ています。上記で紹介したレタス類と同じキク科ですが、実際はレタスとは異なり、キクニガナ属に属する一年または二年草でチコリの仲間です。日本では主に長野県や岡山県などで生産されています。

シャキシャキした食感で、味は和名が表すように独特の苦味があります。若いうちはほろ苦い程度ですが成長するにつれ苦味が強くなるため、ある程度大きく成長したら内側に日光が当たらないように布をかぶせたり外葉を寄せて葉を縛ったりして栽培します。

生のままサラダに使われることも多いですが、加熱することで苦味が抑えられるため、ソテーや揚げ物、スープなどにすると美味しくいただけます。

なお、ややっこしいのが英語名とフランス語名。英語名は「Endive(エンダイブ)」ですがフランス語名は「Chicoree(チコレ)」。それに対し、日本でチコリとして知られている野菜の英語名は「Chicory(チコリー)」ですがフランス語名は「Endive(アンディーブ)」と英語名とフランス語名がそれぞれ入れ替わっています。

チコリ

和名は「キクニガナ」と呼ばれるキク科キクニガナ属の多年草です。日本での栽培は少なく北海道などで少々生産されているくらいなので、主に出回っているものはオランダやベルギーで栽培されたものが多いです。本来は非常に強い苦味があるので、食用のチコリは日光に当てずに栽培することで苦味を抑えて食べやすいようにしています。

先端が淡い黄緑色でその他の部分は真っ白い色をしています。舟形の可愛らしい形状をしているのが特徴です。主に葉をはがしてそのままサラダとして食すことが多いですが、蒸したり炒めたりしても美味しいです。

チコリはデトックス効果が高い事から、葉以外にも根の部分を乾燥させて粉末にしたものを煎ってコーヒーの代わりに飲料用として飲まれています

栄養・食養

レタスは全体の約95%が水分なので非常に低カロリーな野菜です。この水分の多さがあってこそレタスのシャキシャキ食感が味わえるのです。栄養がほとんどないと思われるレタスですが、残りの5% には様々なミネラルやビタミン、食物繊維などの栄養素がバランスよく含まれています。

レタスは多種多様な種類があり、それぞれの種類によって含まれる栄養素にも違いがあります。

栄養

造血のビタミン「葉酸」

妊婦さんに欠かせない栄養素として注目されている成分。水溶性のビタミンB群の一種でビタミンB12と同様に赤血球を生産するために不可欠な栄養素であることから「造血のビタミン」と呼ばれています。

また代謝にも深く関わりがあり、DNAやRNAといった核酸やタンパク質の合成を促進し、細胞の生産・再生を助ける働きがあることから、身体の発育にも大切な栄養素です。

不足すると造血機能が異常をきたすことから貧血や動脈硬化、神経障害や腸の機能の障害、また、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症などを引き起こす可能性があります。

主にホウレンソウやブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜や、枝豆などの豆類、レバー、イチゴやアボカドなどの果物などに多く含まれています。レタスの中で含有量が特に多いのは、リーフレタス、サニーレタス、サンチュ、ロメインレタスです。

水溶性のビタミンなので、過剰に摂取しても尿から排出されるため問題ありませんが、アルコールの過剰飲酒や、アスピリンや避妊薬のピルを常飲する人は葉酸が欠乏しやすいので注意する必要があります。

止血のビタミン「ビタミンK」

脂溶性ビタミンの一種であるビタミンK。血液の凝固に深い関りがあります。ケガなどで出血した時や内出血をした時などに血液を固めて出血を止める作用をするために必要であることから、「止血のビタミン」と呼ばれています。

また、骨を強くする働きもあるので、丈夫な骨を生成するためにはビタミンDと共に欠かせないビタミンです。

このビタミンKは、食物から摂取する以外に腸内細菌からも生成されるため、通常の食生活を送っていれば不足や過剰摂取になることはありません。

ビタミンKが多く含まれる食材は、納豆などの発酵食品や緑黄色野菜です。

脂溶性のビタミンのため、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。また熱に強いことから、揚げ物や油炒めなどがオススメです。

なおビタミンKは、ワーファリン(血液を凝固させないようにする薬)の効果を弱める作用があるため、ワーファリンを服用されている方はビタミンKを多く含む食品は控えた方がよいでしょう。

レタスあれこれ

レタスを切った時に出てくる白い液体って?

新鮮なレタスの茎を切ると断面から白い液体が出てきます。これはサポニン様物質の1つである「ラクチュコピクリン」というポリフェノールの一種です。苦味の元となる成分でレタスが鳥や害虫から身を守るために備わっているものです。鎮静作用や鎮痛作用があるということから、以前はレタスを粉末にして鎮静薬として使用していたこともあったそうです。

実はこの白い液体がレタスの名前の由来にもかかわっています。レタスの語源はラテン語の「Lectuca(ラクトゥーカ)」。Lec が牛乳を意味しています。また和名においてももともとの漢字は「乳草」。この乳草(ちちくさ)が変化して「ちさ」になり、現在の「チシャ」になったと言われています。英語名・和名どちらも、乳のような白い液体を出すことから命名されたのがわかります。

レタスを使ったロマンチックなサラダ

その名も「ハネムーンサラダ」。レタスだけを使ったサラダのことです。なぜこれがハネムーンサラダと呼ばれるかご存知でしょうか?

「レタスだけ」を英語で言うと lettuce alone(レタス・アローン)。これが「私達だけにして」という let us alone(レット・アス・アローン)」、もしくは「Let us only(レット・アス・オンリー)」という音に似ていることから、レタスだけのサラダのことを「ハネムーンサラダ」と呼ぶようになったのだそうです。

レタスは淡色野菜?緑黄色野菜?

レタスというと色が薄いので淡色野菜と思われがちですが、実はレタスには多種多様な種類があり、それぞれの種類によって淡色野菜と緑黄色野菜の区別が異なります。

  • 淡色野菜
    • 玉レタス(土耕栽培)
    • ロメインレタス
  • 緑黄色野菜
    • サラダ菜
    • リーフレタス
    • サニーレタス
    • サンチュ
    • 玉レタス(水耕栽培)

日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、実はほとんどのレタス類は緑黄色野菜として分類されています。面白いことに玉レタスも水耕栽培されものは緑黄色野菜になります。そもそも淡色野菜と緑黄色野菜の区別は、可食部100g当たりに含まれるβカロテンの含有量で決められているのです。βカロテン含量が600μg以上のものが緑黄色野菜、600μg未満が淡色野菜です。同じ玉レタスでも土耕栽培か水耕栽培するかでβカロテンの含有量が大きく異なり、土耕栽培されたものは含有量が240μgなのに対し、水耕栽培されたものは710μg。つまり水耕栽培されたレタスは緑黄色野菜としての分類となるのです。

  • 2020.09.01
  • 15:17

葱(ネギ) - Veggiepedia

分類:ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属

名称:green onion(英)、Welsh onion(英)、Ciboule(仏)、 ねぎ(日本)

焼いたり煮たり、揚げたり炒めたり、生のままサラダや薬味として大活躍のネギ。日本ではずいぶん古くから食されてきた食材の一つです。もともとネギ類はユリ科に属していましたが、2009年のAPG植物分類体系ではヒガンバナ科に分類されるようになりました。

暖かい地域では二年草として、北海道などの寒い地域では一年草として栽培されています。

タイプが大きく2種類に分けられ、1つが白ネギで「長ネギ」や「根深ネギ」とも呼ばれ、主に東日本で好まれています。もう1つは青ネギで「葉ネギ」や「小ネギ」とも呼ばれ、主に西日本で好まれています。

白ネギは栽培する際に土寄せと言って土を寄せてネギの下部に太陽の光が当たらないようにすることで白い部分が多くなるように育てます。

ネギは4~8月の春ネギ、7~10月の夏ネギ、10~4月の秋冬ネギと、年間通して出回っているためなかなか旬がわかり辛いのですが、白ネギと言われる長ネギの旬は冬。寒さに耐えて育つことで甘味が増して柔らかく美味しいネギになります。

それに対し、青ネギと言われる葉ネギは白ネギと比べて暑さに強いことから春から夏にかけての時期が旬です。

主な産地は関東で、1位が千葉県、2位が埼玉県、3位が茨城県。主要3県で全体の約40%を占めています。流通している時期からみる出荷量は、冬から春にかけては千葉県産や埼玉県産のものが、初夏から初秋にかけては茨城県産のものが、晩夏から秋は青森県や北海道などの寒冷地のものが多いです。

歴史

ネギの原産地は諸説あり、中国西部もしくは西シベリア南部のアルタイ地方との説が有力とされています。

紀元前に中国へ伝わり、その頃から太ネギとも呼ばれる白ネギや、葉ネギ、太ネギと葉ネギの中間的なタイプの3種が地域ごとに作られていたようです。

日本へはかなり古くから朝鮮半島を経由して伝わってきたとされており、日本書記に記録が残されていることからおおよそ8世紀ごろから栽培されていたと考えられています。

意外にもヨーロッパやアメリカへ伝わったのは遅く、だいたいヨーロッパへは16世紀末頃、アメリカへは19世紀頃とされています。しかし、ヨーロッパには古くからリーキという西洋ネギがあり、アメリカにおいても既に玉ねぎが主として使われていたことから、現在でもネギはあまり普及していません。

種類

主に東日本で好まれている「白ネギ」と西日本で好まれている「青ネギ」に大きく分けられます。

白ネギ

主に白い部分を食べる「根深ネギ」が白ネギです。一般的に「長ネギ」というとこの白ネギを示すことが多いです。栽培する際に土寄せと言ってネギの下部に土を寄せて太陽の光が当たらないようにすることで白い部分が多くなるように育てられています。

白ネギは「千住群」と「加賀群」の2種類に分類されます。

千住群

東京の千住付近(現在の荒川区と足立区の辺り)で栽培されている白ネギの代表的な品種として千住ネギがあります。その中でもいくつかの系統が存在することからそれらを総称して千住群と呼んでいます。千住群に属するネギは葉の色によって系統が分かれ、濃い緑色の千住黒柄、淡い緑色の千住赤柄、黒柄と赤柄の中間的な位置づけの千住合柄、そして黒柄と合柄の中間の千住合黒の4タイプに分類されます。いずれも加賀群に比べると白い部分がやや硬いのですが、一年を通して長く栽培されています。

グリルや炒め物、煮物や薬味などどんな料理にも適していますが、冬に収穫されたものは特に甘味が増して美味しいため、煮物や鍋料理に最適です。

代表的な品種には千住ネギ、湘南ネギ、金長ネギ、長宝ネギなどがあります。

深谷ネギ

埼玉県の深谷市で栽培されているネギの総称、いわゆるブランド名で品種ではありません。品種は千住群に属する様々な根深ネギです。関東ではネギというとこのネギを示すことが多いです。深谷市以外で栽培されたネギも「深谷ネギ」という名称で販売されているものがあることから、それらと区別するために深谷市で栽培されたものは「少し贅沢深谷ネギ」というロゴ入りで販売されています。

深谷ネギの特徴は、繊維がきめ細かく、さらに白い部分が長いこと。また、特に秋冬に出荷されるものは糖度が非常に高くて桃やミカンのようなフルーツ並みの甘味があります。

加賀群

耐寒性が強いため寒冷地で栽培されることが多く、太さがあり、分けつ(一本の茎から枝分かれすること)が少ないのが特徴です。煮込むと青い部分までとろりととろけて甘味や旨みが際立つため、煮込み料理や鍋料理、特にすき焼きに向いています。

代表的な品種には金沢一本ネギ、松本一本ネギ、下仁田ネギ、岩槻ネギなどがあります。

金沢一本ネギ

金沢一本ネギは「金沢太ネギ」とも呼ばれる加賀の伝統野菜の一つです。長野県の松本地方から入って来たものが原種とされる加賀群の根深ネギで、葉は青い部分で全体の長さは約110cm、そのうち白い部分の長さは25cmほど、茎径は2cm位です。

生育が早く、寒さや病気には強いのですが、長くて柔らかいことから風で折れやすいために栽培が難しく、生産量が減少しています。

金沢一本ネギは白い部分が分けつせず太くて長く肉質がとても柔らかいこと、ぬめりがあり甘味が多いのが特徴です。

下仁田ネギ

群馬県下仁田町の特産物で「上州一本ネギ」とか、徳川家に献上していたことから「殿様ネギ」とも呼ばれています。青い葉の部分も肉厚で柔らかく加熱するほど甘みが強くなるため、鍋料理に適した品種です。白い部分は15~20cmと短いのですが、太さは太いもので4~5㎝もあります。

松本一本ネギ

江戸時代から松本市で栽培されており、江戸へのお土産物として重宝されていたネギです。金沢一本ネギの元でもあります。寒さに強く、白い部分が太い、甘みが強いなど、加賀群ならではの特徴を持ち合わせていますが、松本一本ネギの一番の特徴は曲がっていること。これは夏の暑い時期に植えてあるネギをいったん抜いて植え替えるという作業をすることにより、かぶせた土の重みで根元が曲がるのです。このひと手間によって、より柔らかく旨みの深い味が生まれます。

青ネギ

青ネギは九条群に分類され、青い部分が長く、白い部分が短いタイプのネギです。「葉ネギ」や「小ネギ」、「薬味ネギ」とも呼ばれています。白ネギと比べ、青い部分が柔らかくて辛味や刺激臭が少なく、分けつ数が多いのが特徴です。

青ネギの代表的な品種には「浅黄系九条ネギ(九条細ネギ)」、「九条太ネギ」、広島の「観音(かんおん)ネギ」、高知の「やっこネギ」などがあります。

九条ネギ 

九条ネギは、奈良時代前半から京都の九条村付近(現在の京都市南区九条付近)で品質の良いものが栽培されていたことから「九条ネギ」と命名された京都の伝統野菜です。関西でネギとか青ネギというとこの九条ネギを示します。

柔らかくて香りも良く、また甘味が強いのが特徴です。特に冬場の九条ネギは寒さが募るにつれ、糖分が増えてゼリーのようなぬめりが葉の内側に蓄積され、甘味が増します。

九条ネギには、耐暑性が強く分けつしやすい細系の品種と、耐寒性が強く分けつしにくい太系の品種があります。

薬味としてだけでなく、ネギ焼きなどの焼き物や、すき焼きや鍋料理、酢味噌和え(ぬた)などの和え物、お味噌汁など幅広く利用できる青ネギです。

小ネギ/万能ネギ

小ネギは「万能ねぎ」とも呼ばれ、さまざまな地域ごとにブランドとして栽培されており、その代表的なものが福岡県の「博多万能ネギ」です。これは九条細ネギを若採りしたもの。その他、大分県の「味一ネギ」、高知県の「やっこネギ」、佐賀県の「うまかネギ」などがあります。いずれも直径約5mmと細いため主に薬味として使用されます。

その他

赤ネギ

赤ネギは通常のネギの白い部分の表面が鮮やかな赤紫色になっているタイプのネギです。この赤い色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもの。

赤ネギの代表的なものとして、山形県庄内地域の伝統野菜「平田赤ネギ」、茨城県の三大伝統野菜の一つである「レッドポワロ―」、そして2007年に品種登録された茨城県の「ひたち紅っこ」などがあります。

平田赤ネギは加賀群に分類されており、生のままだと辛味が強いのですが、加熱することでとろみが出て辛味が甘味に変化します。レッドポワロ―は千住群に分類されており、通常のネギよりも辛味が少ないですが、やはり加熱するとさらに甘味が増します。

曲がりネギ

曲がりネギはまっすぐではなく途中で曲がった形状のネギのことで、曲がりネギという品種があるわけではありません。栽培する環境が、土が浅く、水はけが悪いかったりして、通常の根深ネギのようにそのまま土をかぶせていく栽培方法ができないため、ある程度育ったネギをいったん抜き、斜めに寝かせて土をかぶせて育てます。寝かされたネギはまっすぐ上に伸びようとするために曲がって成長していくことから「曲がりネギ」となります。寝かされてから上に成長しようとする際にストレスがかかるため、より甘みが増して美味しくなります。

曲がりネギの代表的なものとしては、宮城県仙台市の「仙台曲がりネギ(余目ネギ)」が有名で、その他秋田県の横沢地域で栽培されている「横沢曲がりネギ」、岩手県一関市の「やわらか美人」などがあります。長野県松本市の「松本一本ネギ」も曲がりネギです。

分葱(ワケギ)

分葱はネギの一種ですがネギではなく、ネギと玉ねぎを掛け合わせて作られた品種です。根元に膨らみがあるのが特徴です。ネギとは異なり、玉ねぎのように球根から育ちます。寒さに弱いため主に広島県尾道市など関西より西で栽培されています。

ネギよりも辛味が控えめで香りも優しいことから、酢味噌和え(ぬた)などで使われることが多いです。熊本県では「一文字」と呼ばれており、「一文字グルグル」という郷土料理が有名です。

なお、分葱というと関西ではこの分葱を指しますが、関東では青ねぎのことを示していることもあります。

浅葱(アサツキ)

浅葱は「エゾネギ」やヨーロッパで自生する「チャイブ」を品種改良したもので、ネギとは異なる山形県の伝統野菜で、本来は野草です。冬から春先が旬で、青ネギによく似ていますが青ネギよりも全体的に色が薄く、辛味が強いのが特徴です。主に関東から北で出回っています。ただし、栽培量が少ないことから青ネギが浅葱の代用として販売されていることもあります。

浅葱という名前は、ネギよりも色が薄いことからつけられた和名です。

芽ネギ

芽ネギはそのような品種があるわけではなく、芽吹いて間もないネギのことです。「姫ネギ」とも呼ばれています。長さ約10㎝、太さは1mmほどの極細な状態で収穫するため、ソフトな中にややシャキっとした食感があり、若いネギのさわやかで柔らかい香りと優しい辛味があります。

主な産地は静岡県と愛知県で、主に寿司ネタや椀の青味として使用されています。

西洋ネギ

リーキ(ポワロ)

日本のネギと同じネギ属に属する地中海沿岸が原産の野菜です。英語名は「リーキ」または「リーク」、フランス語名は「ポワロ―」。このため、日本では「ポワロネギ」や「ポロネギ」、「西洋ネギ」などと呼ばれることもあります。日本での生産量はまだ少なく、主にベルギーやオランダ、オーストラリアやニュージーランドから輸入されています。

見た目は下仁田ネギなどの根深ネギに似ており、白い部分は太くしっかりした円形ですが、日本のネギよりも太さがあります。青い葉の部分は硬くて筒状にはならず、平らにつぶれたような形状です。味は煮込むと非常にまろやかで甘味があり、食感もとろりとして優しいのが特徴です。主にポタージュやシチュー、マリネやグラタンなどといった加熱料理に向いています。

チャイブ

ネギの一種ですが主に風味付けなどに使用されるハーブで、フランス語名は「シブレット」。日本では「エゾネギ」や「セイヨウアサツキ」と呼ばれることもあります。北半球の温帯から寒帯にかけて広く生息しています。日本の浅葱はこのチャイブを品種改良して生まれたので、見た目は浅葱によく似ています。ネギと同じような風味を持つことから、薬味のように刻んでふりかけたりして利用されます。西洋料理では特にじゃがいもとの相性が良いため、ベイクドポテトやポテトサラダ、ヴィシソワーズなどによく使われています。

栄養・食養

ネギには白い部分と青い部分がありますが、白い部分は淡色野菜の分類に、青い部分は緑黄色野菜の分類になることからそれぞれごとに含まれる栄養素も異なります。

含まれる主な栄養素としては、白い部分には硫化アリル(アリシン)が、青い部分にはβカロテン、ビタミンC、フルクタンなどがあります。

栄養

注目すべき成分「硫化アリル(アリシン)」

長ネギの白い部分に含まれている重要な成分に硫化アリルがあります。硫化アリルは玉ねぎやニンニクなどにも含まれているあのツンとした特有の刺激や匂いのもととなる成分です。硫化アリルは、体内に入ると分解されてアリシンに変わります。ネギやニンニクなどはよく疲れた時に食べるとよいと言われますが、それはアリシンが疲労回復に効果的なビタミンB1の吸収を助け、その働きをサポートする作用があるからです。

その他、硫化アリルには殺菌や抗菌作用、抗酸化作用、血液をサラサラにして固まるのを抑制する作用、血行を促進して身体を温める作用、胃腸の消化機能を向上させる作用などの作用もあります。

ただし、硫化アリルは水溶性のため、水に溶けてしまい、また熱にも弱いため、できるだけ生に近い状態で食べることをお勧めします。辛味を抑えたいときは、カットした後しばらくはそのまま自然放置しておくとよいです。

ネギのヌルヌル、水溶性食物繊維「フルクタン」

白ネギの青い部分や九条太ネギに含まれる透明色のヌルヌルっとした粘液のような成分は通称「ヌル」や「アン」、「ヌルヌル」などと呼ばれているものですが、これは水溶性食物繊維「フルクタン」。

フルクタンは加熱しても冷凍しても効果は失われることはなく、また、乾燥していてヌルヌルがない場合でも、水分で濡らすことで復活します。

フルクタンの主な働きは、免疫細胞を活性化させることです。つまり、フルクタンによって免疫力が高められるため、インフルエンザや肺炎、ガンなどの病気を予防する効果があります。さらに、ウィルスや菌の増殖を抑制する作用もあります。

寒さが増すごとにフルクタンの量も増してくるため、ちょうど寒い冬に流行り出すインフルエンザの予防にはもってこいの野菜です。

外用としての利用法

眠れない夜に

長ネギにはイオウが含まれています。イオウには鎮静作用があることから、眠れないときに刻んだ長ネギを枕元に置いて寝るとぐっすり眠れるそうです。

風邪でのどが痛いときに

長ネギに含まれるアリシンには殺菌効果があり、さらに空気に触れることで生成される香り成分なので、風邪をひいてのどが痛むときは、切り込みを入れた長ネギを布巾やガーゼで首に巻くとよいと言われています。

ネギあれこれ

ネギの名前の由来

ネギの名前の由来は諸説ありますが、中国の古書ではネギは「葱(き)」と記されており、日本に渡来してから日本書記では「秋葱(あきぎ)」と記載されているそうです。のちに根を食すことから「根葱(ねき)」となり、現在のネギになったと言われています。

ネギの部位って?どこが葉っぱ?

ネギの白い部分が茎で緑の部分が葉と思われがちですが、実はひげのように生えているのが根、そこから先約5~10mm辺りの少し硬い部分が茎、そしてそれより先はすべて葉っぱなのです。ネギの白い部分は栽培時にあえて土をかぶせて白くしているだけなので本来は緑色の葉。正式には白い部分は葉鞘(ようしょう)と言い、根深ネギは主にこの部分を食べます。青い部分の中が空洞になっているところは葉身(ようしん)と言い、青ネギは主にこの部分を食しています。

ネギのひげ根

通常ネギのひげ根って捨てていると思いますが、実は食べられるのです。良く洗って土を落としたら細かく刻んでスープや炒め物に入れたり、素揚げ、または衣をつけて揚げたりすると大変美味しくいただけます。

  • 2020.09.01
  • 15:17

ほうれん草 - Veggiepedia

分類:ヒユ科ホウレンソウ属

名称:Spinach(英)、epinard(仏)、 ホウレンソウ(日本)

ほうれん草を表す漢字の1つに「菠薐草」というのがあります。菠薐(ポーリン)とは中国語でペルシャを意味しています。これはほうれん草がペルシャからシルクロードを経て中国へ伝わったことから中国で菠薐草と呼ばれ、それが日本に渡ってきて「ポーリン」が「ほうれん」と転訛してほうれん草と呼ばれるようになったと言われています。なお、ほうれん草を表す漢字はその他にも「鳳蓮草」「法蓮草」など複数あります。

栄養豊富な緑黄色野菜の代表として世界中で摂取されているほうれん草は、小松菜などに似ていることからアブラナ科と思われがちですが、ヒユ科ホウレンソウ属の1年草または2年草です。もともとはアカザ科に分類されていましたが、2009年に発表されたAPG植物分類体系においてアカザ科の植物はすべてヒユ科に統合されるようになりました。なお元アカザ科の植物にはビーツや甜菜、おかひじき、不断草(スイスチャード)などがあります。

ほうれん草は、現在ハウス栽培されているものも多いため、通年出回っていますが、本来の旬は11~1月の晩秋から冬にかけてです。この時期のほうれん草は寒さに耐えるために糖度が増して甘く、栄養価が高く、色も濃くて鮮やか。主な生産地は1位が千葉県、2位埼玉県、3位群馬県と関東圏が上位を占めています。季節的に見ると、通年出回っているほうれん草は群馬県のものが多く、秋から春にかけて出回るほうれん草は千葉を中心とした関東圏のもの、夏から秋にかけて出回るほうれん草は北海道などの涼しい地域のものが多いです。

歴史

ほうれん草の野生種は今のところ発見されていないのですが、原産地は中央アジアから西アジアのペルシャ(現在のイラン、アフガニスタン周辺)と言われています。その後、東西に分かれ時間をかけて各国へ伝播しました。東に伝わったほうれん草は東洋種と呼ばれ、葉肉が薄めで葉に切れ込みがあって尖っている「剣葉系」で、西に伝わったものが西洋種と呼ばれ、葉肉が厚く葉の形は丸みのある「丸葉系」であるのが特徴です。

時期的には、7世紀頃にシルクロードを通って中国へ伝わり、11世紀頃にアラビアや北アフリカからスペインに入り、その後ヨーロッパ各地へ広がったそうです。日本へは17世紀(江戸時代初期)頃に中国から東洋種が渡ってきました。クセがなく食べやすいことから日本に広く普及したと言われています。

西洋種も江戸時代末期頃に伝搬しましたが、こちらはアクが強く土臭いためあまり普及しなかったそうです。ほうれん草の需要が急激に伸びたのは第二次世界大戦後のことで、アニメ「ポパイ」の影響にに加え、東洋種である日本在来種とクセのある西洋種の自然交雑種が栽培されたのを機に、さらに品種改良されて食べやすくなったことが要因なのだそうです。

種類

現在栽培されているほうれん草は主に東洋種、西洋種、交雑種に分けられます。

東洋種

写真出典:おしゃべりな畑

日本に最初に入ってきた品種のほうれん草です。葉にギザギザとした深い切れ込みがあり、根元の軸の部分が赤いのが特徴です。肉質は薄くて柔らかく甘味があります。

しかし、害虫がつきやすいなどで栽培が難しいことから激減し、近年ではあまり見かけられなくなりました。アクが少なく食べやすいのでおひたし、鍋料理、和え物などが向いています。代表的な品種には万葉、次郎丸ほうれん草、山形赤根ほうれん草、禹城(うじょう)などがあります。

西洋種

欧米で普及した品種のほうれん草です。葉は丸くて大きめで肉厚、根元の軸の部分は緑色をしているのが特徴です。東洋種に比べて害虫や病気に強く栽培し易いことから東洋種に取って代わる勢いで急速に増えましたが、アクが強く土臭くいため、なかなか家庭に受け入れにくい難点がありました。おひたしなどのシンプルな料理より高温で加熱するソテーやグリルなどに向いています。代表的な品種には、ピロフレー、ミンスターランド、ノーベルなどがあります。

交雑種

東洋種と西洋種のかけ合わせにより生まれたもので、現在市場に出回っているほうれん草のほとんどがこのタイプの一代交配のものです。もともとは東洋種のそばに植えられた西洋種の花粉が飛んだことで自然に交雑種が生まれましたが、現在は東洋種の甘さや食べやすさと西洋種の病気などへの強さといったそれぞれの良さが取り入れられた多くの品種が存在しています。


交雑種の一つであるサラダほうれん草は生食用に品種改良されたもので、主に水耕栽培で生産されています。柔らかい葉と細い茎が特徴で、アクがほとんどなく甘みがあります。主な品種としては、リード、豊葉、アトラス、ミンスター、サラダほうれん草などがあります。

その他

寒じめほうれん草

寒じめほうれん草は、秋に収穫可能な大きさまで育てた後、冬の寒さや霜に当てたものです。ほうれん草自身が凍結するのを避けるために、糖度が高まり、葉も締まって肉厚になり、旨味も甘味も増した状態に変化します。葉が縮まっていることから、別名「ちぢみほうれん草」とも呼ばれています。

寒じめほうれん草の見た目は他のほうれん草のように葉が縦に伸びるのではなく、寒気にさらされて育つことから地に張り付くような姿になります。また一般のほうれん草に比べて味も濃く、ビタミン類やフィトケミカルなどの栄養価も高いのが特徴です。葉に厚みがあることから、生食よりもソテーやボイルするなど加熱調理に向いてます。

スイスチャード

ほうれん草の一種ではないのですが、ほうれん草に似た香りのする葉野菜にスイスチャードというのがあります。スイスチャードはほうれん草と同じヒユ科(元アカザ科)ですが、属しているのはフダンソウ属で、甜菜やビートと同種です。

原産地は地中海沿岸で、軸の色が鮮やかな赤や黄色、白、オレンジなどとカラフルなのが特徴です。これらの色はポリフェノールの一種でベタライン色素によるものです。


緑のフダンソウ 真夏にホウレン草の代替として使われます

英語名は「Swiss chard」ですが、寒さにも暑さにも強く、真冬以外のほぼ一年中栽培されていることから和名として「不断草(フダンソウ)」と名付けられています。また別名として「トキシラズ」や「アマナ」「ンスナバー」などとも呼ばれています。

味に青臭さやエグミなどがなく非常に淡白なので、おひたしや和え物、ソテーなどさまざまな調理に向いています。生食でも食べられるためサラダの彩りに利用されることが多いのですが、若干硬いので軽く下茹でしてから使用したほうが食べやすくなります。


栄養・効能

ほうれん草は、栄養の宝庫とも言える緑黄色野菜です。

ほうれん草に含まれる主な栄養素をあげると、ビタミンACE(ビタミンA(ベータカロテン)、ビタミンC、ビタミンE)やビタミンB群をはじめとするビタミン類、食物繊維、鉄分やカリウム、カルシウム、マンガンなどのミネラル、ルテインなどのフィトケミカルなど多種多様に含まれているのがわかります。

活性酸素を除去し、免疫力を高めるベータカロテン

ベータカロテンは緑黄色野菜などに多く含まれているフィトケミカルで、1930年に発見され、ニンジンの英語名「キャロット」に由来して名付けられたカロテノイドの一種です。
抗酸化作用が高いため活性酸素を除去してくれるので、動脈硬化や心筋梗塞、ガンなどの病気を予防したり、老化防止にも役立ちます。

ベータカロテンはほうれん草100g中に生の状態で4,200μg、茹でた状態だと5,400μgも含まれており、その含有量は野菜の中で、とうがらし、しそ、モロヘイヤ、ニンジンに次ぐ5位と非常に豊富です。ベータカロテンは油や熱に強いため、生で食べるより、ボイルしたりソテーや揚げ物など油と一緒に調理したほうが吸収力がアップします。

実はこのベータカロテンは体内に入ると小腸で必要な分量だけビタミンA(レチノール)に変換されます。ビタミンAには皮膚や粘膜を正常に保つ効果があり、肌の新陳代謝を促して肌に潤いを与えたり、粘膜が正常に保たれることで感染症を予防し、免疫力を高められます。また、目の健康を保つためにも重要な栄養素で、目の角膜を正常に保つことができ、眼精疲労やドライアイ、夜盲症の予防効果があります。

なお、ビタミンAには動物由来のものと植物由来のものがあり、植物由来のビタミンAはベータカロテンから変換されるもので、必要な分だけビタミンAに変換され余分は排出されることから過剰摂取によって障害となることはありません。

貧血予防に最適な鉄分

鉄分もほうれん草に多く含まれている栄養素の一つです。
鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄とがあり、肉や魚などの動物性の食材に含まれているのがヘム鉄、野菜や穀類などの植物性の食材に含まれているものが非ヘム鉄です。どちらの鉄分もその働きは同じで、その主なものとして赤血球の中のヘモグロビンとなって酸素を運搬し二酸化炭素を回収する、というのがあります。

鉄分不足が原因で貧血になりやすいことはみなさんもよくご存知のことですが、その他にも、疲れやすくなったり、イライラしたり、集中力も低下してしまいます。よく女性が鉄分不足になりやすいと言われていますが、その原因として無理なダイエットによる鉄分の摂取不足や、妊娠・出産・授乳などによる必要量の増加、さらには月経や病気などによる損失量の増加があります。

鉄分を摂取するにあたり、ヘム鉄はタンパク質にくるまれていることからそのままでも体内に吸収されやすいのですが、非ヘム鉄は吸収されにくいという性質があります。吸収を良くするためには、ビタミンCや肉や魚などのタンパク質などと一緒に摂取すると効果的です。
ただし、コーヒーや紅茶、緑茶などと一緒に摂取すると、これらに多く含まれるタンニンによって吸収が妨げられてしまうため注意が必要です。

ホウレン草カレー


眼精疲労の改善や視機能強化にルテイン

ルテインはベータカロテンと同様、カロテノイドの一種です。
ベータカロテンはカロテン類なのに対し、ルテインはキサントフィル類で、鮭などに多く含まれるアスタキサンチンと同じ分類です。キサントはラテン語で「黄色」フィルは「葉」を意味しています。

ルテインは眼底の網膜の中心部である黄斑部に多く存在しており、その他水晶体や皮膚、大腸などにも存在しています。主な働きは目を保護してくれること。ブルーライト(パソコンやスマートフォン、テレビなどから発せられる有害な青色の光)や紫外線を吸収して目を守ってくれます。

ただし人間の身体の中で作り出すことは出来ないため、食事から摂取することが必要です。ルテインを多く含む野菜は、ほうれん草の他にブロッコリーやパセリ、ケール、カボチャなどがあります。
ルテインは脂溶性成分なので、水に溶けにくく油に溶けやすいのが特徴です。このため、ソテーするなど、油と一緒に調理することがオススメです。

妊婦に大切な葉酸

葉酸はほうれん草の葉から発見された栄養素で、ビタミンB群の一種です。
細胞を生成したり再生する際に必須の栄養素と言われています。このため胎児の身体を作っていくためには欠かせない大切なものです。妊娠時の初期に葉酸を十分に摂取しておくことで胎児が神経管閉鎖障害を発症するリスクを抑えられると言われています。

また、ビタミンB12とともに赤血球を生成するのに使われることから「造血のビタミン」とも呼ばれています。成人において葉酸をしっかり摂取することで循環器系の病気(心筋梗塞や脳卒中など)の発症を軽減されるという研究結果もあります。

葉酸はほうれん草の他、ブロッコリーや豆類、舞茸やエリンギなどのきのこ類、イチゴやアボカドなどの果物に含まれています。水溶性のビタミンなので、過剰に摂取しても尿から排出されるため問題ありません。
なおアルコールの過剰飲酒や、アスピリンや避妊薬のピルを常飲する人は葉酸が欠乏しやすいので注意する必要があります。


骨の形成に重要なマンガン

ほうれん草の根っこの赤い部分ってどうしていますか?捨ててしまう人が多いのではないかと思いますが、実はあの赤い部分に、ミネラルの一種であるマンガンが豊富に含まれているのです。

マンガンは人間の身体のいろいろな組織や臓器に存在しているミネラルです。
マンガンの効能にはさまざまなものがありますが、中でも骨や歯、皮膚などの形成促進に大きく役立っているのです。また、酵素を構成する際の成分になったり、酵素の働きを活性化するのに関わっていて、三大栄養素(タンパク質、糖質、脂質)の代謝に大きく働きかけます。

通常の食生活ではマンガンが不足することはありませんし、摂取量が多かった場合は、便として排泄されるため摂りすぎてもさほど気にする必要は無いのですが、サプリメントなどで過剰に摂取すると、精神障害や、腎臓・肝臓等の障害、免疫力の低下などを引き起こす原因になります。

ほうれん草の根っこの他に、主に生姜やクローブ、シナモンなどといった香辛料や、玉露や煎茶などの緑茶類、油揚げやがんもどき、納豆などといった大豆製品、ひじきや若布、海苔などの海藻類などに多く含まれています。

ほうれん草あれこれ

ほうれん草に含まれるシュウ酸って?

シュウ酸とは、エグミのもとであるアクの成分のことです。シュウ酸は尿管結石など結石の原因となるものです。

以前はカルシウムと一緒に摂取すると体内でカルシウムとシュウ酸が結合し、シュウ酸カルシウムとなって尿管結石などの原因になると言われていました。しかし、シュウ酸は腸の中に存在するカルシウムと結合することで便として排泄され、体内への吸収が抑えられることがわかったため、最近では積極的にカルシウムと一緒に摂取することが推奨されています。

逆に避けたほうがいいのは、肉や卵などの動物性タンパク質、砂糖、塩分などを過剰に摂取すること。これらを多く摂取すると、尿内のカルシウム濃度が高まり、腎臓内でシュウ酸とカルシウムが結合し、それが石の塊となって排泄しにくくなり、尿管結石を引き起こす原因となるのです。

ただし、シュウ酸の危険性はほうれん草を一日に数kg摂取した場合のことなので、毎日大量に摂取しなければ大きな問題にはならないと言われています。

シュウ酸は水溶性のため水に溶けやすい性質です。ほうれん草のようにシュウ酸を多く含むものは、茹でこぼすことである程度シュウ酸を取り除くことが出来るので、どうしても気になる場合は、生食ではなく下茹でしてから調理するといいでしょう。
品種改良によって生まれたサラダほうれん草などは、シュウ酸の含有量が少ないため、生で食べることができます。

ほうれん草の食べ合わせでNGなのは…

よくあるほうれん草の料理に「ほうれん草とベーコンのソテー」がありますね。とても美味しいのですがこれは食べ合わせとしては良くないと言われています。ほうれん草にはシュウ酸の他に硝酸塩が含まれています。また、ベーコンには発色剤として亜硝酸塩が使われており、これがほうれん草の硝酸塩と体内で結合して発がん性物質であるニトロソアミンが生成されてしまうのです。

また、ベーコンにはリン酸も含まれており、ほうれん草の鉄分やカルシウムの吸収が阻害されてしまいます。

その他の食べ合わせNGなものとしては、玄米などの穀類や大豆などの豆類。これらの外皮にはフィチン酸が含まれています。このフィチン酸はほうれん草の鉄分の吸収を妨げてしまうので、こちらもなるべく一緒に摂取することを避けたほうが良いと言われています。

ほうれん草の葉の白いツブツブは何?

ほうれん草の葉に白いツブツブしたものが見られることがあります。これは以前、シュウ酸カリウムの結晶だと言われていましたが、実はシュウ酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸を含んだ水溶液が袋状になったものであることが農林水産省の調査によって明らかになりました。
また含まれているシュウ酸の濃度も低いことから、特に問題視するほどではないと言われています。

とは言えシュウ酸ですし、また食べた際、ツブツブによってざらつく感じがありますから、よく洗い落として使用することをおすすめします。

  • 2020.08.15
  • 16:19

ズッキーニ - Veggiepedia

分類:ウリ科カボチャ属

名称:zucchini(米)、courgette(英/仏)、 zuchina(伊)、ズッキーニ(日本)

ズッキーニはイタリアの「カポナータ」やフランスの「ラタトゥユ」に代表されるように、地中海沿岸地方でよく利用されている一年草の野菜で、学名は Cucurbita pepo var. melopepoといいます。日本では、1980年代後半のイタリア料理がブームになった頃から一般的に出回るようになりました。
イタリア語の「小さいカボチャ」という意味が名前の由来で、カボチャを意味する「zucca(ズッカ)」に「小さい」という接尾辞をつけて「zucchina(ズッキーナ)」となりました。

ズッキーニの旬は初夏~夏で、産地は長野県と宮崎県が主に占めており、次いで群馬県、千葉県となっています。宮崎産は主にハウスものが、長野産は主に露地ものが栽培されています。

概要

ズッキーニについて調べてみると、たいがい「見た目はキュウリに似ていますがカボチャの一種です。」と記されているとおり、キュウリはウリ科キュウリ属であるのに対し、ズッキーニはウリ科カボチャ属。ペポカボチャの一種で、別名「つるなしカボチャ」ともいいます。
通常のカボチャとは異なり、完熟してから収穫するのではなく、開花後5~7日の未熟なうちに収穫して出荷します。
実のなり方は種類によって若干異なりますが、キュウリやカボチャのようにツルや枝からぶら下がるようになるのではなく、主茎から斜め上に向かって伸びるように成長します。ちょうど枝が伸びるのと同じような感じです。

一般的に市場に出回っている大きさは15~20㎝ほどですが、実際には1mくらいの大きさまで育ちます。大きく成長したものも食べることができ、輪切りにしてソテーにすると甘味が増して非常に美味。ただしこちらは繊維が多くて固いため生食には不向きです。
ただ時期や大きさに限らず、収穫後のズッキーニは追熟することなく時間の経過とともに中身がスカスカになってしまうので、新鮮なうちに食べることをおすすめします。

食感や味についてはナスに非常によく似ているため、一般的にナスと同じように調理されることが多いです。
現在最も多く栽培されているタイプは緑色をしたズッキーニですが、その他に黄色や白色、薄緑色のもの、形状も細長い棒状のものや丸形をしたもの、UFO形のものなどさまざまな種類があります。またズッキーニの花には雌花と雄花がありどちらも食すことができるため「花ズッキーニ」として流通しています。なおイタリアでは雌花の方が美味しいと言われ、雌花のみ食されることが多いそうです。


焼いたり、炒めたり、揚げたり、煮込んだり、ピクルスにしたり、、、と、どのような調理方法でも美味しくいただけますが、出回る時期によってオススメの食べ方が異なります。
走りの時期のズッキーニは繊維が柔らかいので生でも美味しいのが特徴です。ただし輪切りするとアクが出やすいため、繊維に沿って切ることをおすすめします。
終わりの時期のズッキーニは繊維が固くなり、また種も目出つようになるため、生食よりも加熱向きです。こちらは繊維を断ち切るように輪切りなどにした方が食べやすくなります。

歴史

原産地は北アメリカ南部からメキシコで、巨大なカボチャが原種と言われています。
野菜としてのズッキーニの歴史は浅く、ヨーロッパから米国へ渡って来た移民が栽培を始め、その後16世紀頃にヨーロッパ、主にフランスやイタリアへ伝わり、幾度となく品種改良や選抜が行われたのち、19世紀後半から20世紀に入ってから本格的に普及されるようになったと言われています。

日本での歴史はさらに浅く、伝わってきたのは第二次世界大戦後ですが、当初はあまり普及せず、1980年以降のイタリア料理がブームになったのをきっかけに急速に広まりました。
癖がなく調理しやすいことから、現在ではここ20年ほどの間に収穫量が約5倍も増加し、一般的な家庭料理でも使用されるほど人気野菜の1つとなっています。

種類

ズッキーニは主にキュウリを大きくしたような緑色のタイプが一般的ですが、他にもとてもユニークな形状をしたもの数多くあります。

グリーン

ズッキーニの代表と言えばこのグリーンタイプ。まるでキュウリのお化けのような形状をしています。同じグリーンのタイプでも、色は薄い緑色をしたものから黒っぽい緑色のものまで様々な種類があります。育ちすぎると味が落ちるため、通常は開花後5日ほどの長さ20㎝、果実直径4㎝位の未成熟な状態で収穫されます。

主な品種としては皮の色が濃緑に淡緑の霜降り斑がある「ダイナー」、濃緑色の「グリーントスカ」、黒緑色の「ブラックトスカ」や「ラベン」、ライトグリーン色の「ゼルダオリーブ」など。

主にイタリア料理やフランス料理などの西洋料理に使われることが多く、新鮮なうちは生でも食べられます。肉やチーズなどを詰めてオーブンで焼いたり、フリットにしたり、カポナータ等の煮物にしたりなど、さまざまな調理方法に向いています。


イエロー

皮・果肉ともに美しい黄色をしているタイプで、味は癖がなく淡白です。またグリーンのものよりも小ぶりで、皮は薄く柔らかいのが特徴です。グリーンのタイプと同様、開花後5日ほどの長さ15~20㎝、果実直径4㎝位の大きさで収穫して出荷されます。

主な品種としては皮に艶のある濃黄色の「オーラム」、鮮やかな黄色の「イエローボード」などがあります。


グリーンのタイプと同じように、焼いたり、煮たり、炒めたりなどでも美味しくいただけますが、肉質が柔らかく、彩りが鮮やかで美しいため生のままサラダで食べるのがオススメです。


丸形ズッキーニ

丸形ズッキーニは、まん丸な形をしたものやたまご形をしたもの、緑色のものや黄色いものなど形や色のさまざまなものがあり、いずれも開花後3~5日とかなり早くに収穫が可能になります。また収穫に適した大きさは品種によってまちまちで直径5~15㎝ほど。味は定番の細長い棒状のズッキーニと基本的に変わりませんが、果肉はみずみずしく、また量はこの丸形の方が多いです。

主な品種のうち、まん丸形のもので鮮明な黄色をしたものが「パリーノ・ジャッロ」、ライトグリーン色のものが「パリーノ・オリーブ」、濃緑色で光沢のある「パリーノ・ネロ」です。またたまご形のもので光沢のある鮮やかな黄金色をした「ゴールディー」、薄緑色をした「グリーン・エッグ」、濃緑色の「ブラック・エッグ」などがあります。

調理方法は定番の棒状ズッキーニと同じですが、果肉をくり抜いて肉などを詰めるなど形を活かした料理もオススメです。

UFOズッキーニ

平たい円盤型、いわゆるUFOのような変わった形をしたズッキーニです。開花後4~5日で収穫します。果実直径7~8㎝ほどが食べ頃サイズです。見た目はずいぶんと不思議な形をしていますが、味的には定番のズッキーニと変わりません。

主な品種としては、もっとも多く栽培されているのが緑がかった白色の「カスタードホワイト」で、その他、緑と淡い黄色の2色からなる「グリーンスター」、緑色の「グリーン」、黄色い「サンバード」、爽やかな淡いライトグリーン色の「ベニンググリーンティント」などがあります。

調理方法は定番のズッキーニと同じですが、形を活かして果肉をくり抜いて肉やチーズなどを詰めた料理がおすすめです。なお、小さいサイズであれば生のまま形がわかるよう横にスライスすると華やかで可愛らしいサラダになります。

花ズッキーニ

花ズッキーニは、果実が成長する前の開花直前に収穫した花付きの幼果、または花そのもののことです。ズッキーニの花には雄花と雌花とがあり、実をつけるのは雌花のみです。実を収穫すると花はすぐしおれてしまうことから流通が難しく、花付きズッキーニとして出荷される雌花は高級品とされています。

花ズッキーニの主な品種は、果実に縦縞がある「イタリアンストライプ」、細長い棒状で果実部分は輪切りにすると星型の「ステラ」、花専用で果実はほとんどないタイプの「ダ・フィオーレ」、ナッツのような風味がありズッキーニの中でも最も美味しいといわれる「ロマネスコ」などがあります。

花の中にチーズや肉、魚などを詰めたものをソテーしたり、蒸したり、フリットにしたりという調理方法が一般的です。

その他変わり種

ズッキーニは他にも風変わりな面白い形状をした品種がたくさんあります。

たとえば「グリーンパンツ」はその名のとおりまるで緑色のパンツを履いているようで、上部は鮮やかなレモンイエロー、先の部分が薄いグリーンといったツートンカラーのズッキーニです。他のズッキーニよりも甘味が強く癖がないためどんな調理にも向いています。

「イボイボズッキーニ」もその名のとおり外皮がゴーヤのようにイボイボボコボコしているズッキーニです。正式名称は「ルゴーサ・フリウラーナ」。「ルゴーサ」はイタリア語でチリメンという意味、「フリウラーナ」はイタリアの地方の名称で、ヴェネツィア・ジュリア州フリウリ地方で出回っている品種です。見た目は少々グロテスクですが、味はとても美味でベビーコーンのような風味があります。煮崩れしにくいため煮込み料理に向いています。

栄養・食養

「栄養がない」と思われているズッキーニ。でもそんなことはありません。ここでは多く含まれている代表的な栄養素についてご紹介します。

むくみ対策に効果的なカリウム

ズッキーニにはきゅうりやトマトなど他の夏野菜よりも多くのカリウムが含まれています。

塩気の多い食事などでナトリウム(塩分)を摂り過ぎるとむくみや高血圧につながる可能性が高くなります。カリウムは摂りすぎたナトリウム(塩分)を汗や尿として排出してくれる働きをしてくれるので、むくみが解消され、また血圧が低下して高血圧の改善に効果的です。

ただし、カリウムは熱や水に弱く水に溶け出してしまう性質があります。煮物やスープなど加熱する調理の場合は、食材と煮汁と一緒に摂ることをおすすめします。

なお、通常はカリウムを過剰摂取しても体外へ排出されるため特に問題はありませんが、腎機能が低下している場合や、腎臓に障害がある場合は注意が必要です。

カボチャ属に多く含まれるベータカロテン

カボチャには多くのベータカロテンが含まれています。ズッキーニもカボチャ属なので例外ではなく、他のカボチャよりは劣るもののやはり含有量は多いです。

ベータカロテンはカロテノイドの一種で、強い抗酸化作用があり体内に発生した活性酸素を除去してくれるため、動脈硬化や心筋梗塞、ガンなどの病気を予防する効果があり、老化防止にも役立ちます。
実はこのベータカロテンは体内に入ると小腸で必要な分量だけビタミンA(レチノール)に変換されます。ビタミンAには皮膚や粘膜を正常に保つ効果があり、肌の新陳代謝を促して肌に潤いを与えたり、粘膜が正常に保たれることで感染症を予防し、免疫力を高められます。また、目の健康を保つためにも重要な栄養素で、ビタミンAの作用により目の角膜を正常に保つことができ、眼精疲労やドライアイ、夜盲症の予防効果があります。

なお、ベータカロテンは熱に強く油との相性が良いため、生で食べるよりソテーや揚げ物など油と一緒に調理したほうが吸収力がぐんっとアップします。

ダイエットに最適な低カロリー・低糖質

ズッキーニはカロリーがかなり少なく、さらにとても低糖質な野菜です。カロリーは1/2本辺り(約100g)に14kcal程しかありません。

また糖質については1.5gほど。同じカボチャ属の西洋カボチャは100g辺り17gもあり、また他の代表的な夏野菜のナスは8.3g、トマトは3.1g、一般的に糖質が少ないと言われているキュウリは2g、オクラは1.9gですので、それよりもさらに少ないのです。

食べごたえがある上にカロリーも糖質も低いズッキーニは、まさにダイエットする人にオススメの野菜です。

ズッキーニあれこれ

ズッキーニで食中毒 !?

大変まれなことではあるのですが「ズッキーニを食べて食中毒を起こした」という事例が過去にあります。

ズッキーニを始めとするきゅうり、カボチャ、メロン、スイカなどのウリ科の植物には「ククルビタシン」という苦味成分が含まれています。通常、その含有量は微量なため気にするほどのことではないのですが、まれに異常に多く含有していることがあります。この成分を多く摂取した場合、下痢や嘔吐、腹痛など食中毒に似た症状を起こす可能性があります。

このため、もしズッキーニを食べて異常なほど苦味や渋みを感じる場合は、それ以上食べるはやめたほうが無難です。

  • 2020.08.11
  • 21:32

キャベツ - Veggiepedia

分類:アブラナ科アブラナ属

名称:cabbage(英)、chou(仏)、 甘藍(かんらん)(日本)

生でも煮ても焼いても炒めても美味しいキャベツ。日本での正式な名称は甘藍(かんらん)といいます。
キャベツはアブラナ科アブラナ属で本来の植物としては多年草ですが、野菜としては一年草または二年草とされています。
その祖先は青汁などで知られている「ケール」。これが長い年月をかけて品種改良され、現在の結球する形になりました。
他に同じケールを元祖としたアブラナ科アブラナ属の野菜には、カリフラワー、ブロッコリー、芽キャベツ、コールラビ、など似ても似つかない多くの野菜が存在しています。

キャベツは一年中出回っていて、特定の旬の時期というものがありません。どちらかというと一年中旬と言っても過言ではありません。
その理由は、春に収穫されるもの、夏に収穫されるもの、冬に収穫されるもの、という具合に多くの品種が存在しており、また、日本全国さまざまな地域で栽培されていてその場所によって出荷時期が異なることによります。
主な産地は、春キャベツは千葉県、神奈川県、茨城県など、夏秋キャベツは群馬県嬬恋村、長野県、北海道、冬キャベツは愛知県などとなっています。

歴史

キャベツの歴史は、スペイン近辺のイベリア人が自生していたものを薬用として利用していたのが始まりです。
その後、ケルト人によって地中海沿岸、主にイタリアやギリシャ辺りで栽培されるようになりました。時代的には古代ローマ、古代ギリシャの頃。当時は主に酒の酔い冷ましや胃腸と整えるための薬として利用されていたという記録があります。食用として栽培されるようになったのは9世紀頃からといわれています。
その頃のキャベツは結球していないタイプだったそうで、結球したタイプは12、13世紀頃から登場し、品種改良を重ねて現在のような形状になったようです。

葉牡丹

日本へは江戸時代に観賞用として伝わったとされていますが、当時のキャベツはキャベツではなくケールだったと考えられており、それを改良されたものが現在の葉牡丹なのだそうです。
食用として普及したのは明治に入ってからですが、和食中心の日本人にはあまり馴染みがなく、主に日本に滞在している外国人向けや外国船内での食料として利用されるために栽培されていました。
日本人に一般的に広まったのは戦後からで食生活の欧米化がきっかけで、現在では大根に次ぐ主要な野菜として栽培されています。

種類

季節に合わせた品種が栽培されており、一年中出回っています。
一般的なキャベツは、主に春を中心に出荷される春キャベツ、高原などの冷涼地で栽培される夏秋キャベツ、冬の寒い時期に出荷される冬キャベツなどに分けられます。
その他、変わった品種の芽キャベツやサボイキャベツなどもあります。

寒玉キャベツ(冬系キャベツ、冬キャベツ)

通常キャベツというとこのキャベツのことで、夏に種をまき1~3月頃の冬の時期に収穫される品種です。
しっかり締まった球形で、葉は固めで白く、形は扁平です。
日持ちがよく、寒さによって甘味が増すため春キャベツより糖度が高いのが特徴です。
葉が固くしっかりしていることから煮崩れしにくいため、ロールキャベツなどの煮込み料理に適しています。
火を通すことでさらに甘味や風味が増すため、炒め物にも向いています。

春玉キャベツ(春系キャベツ、春キャベツ)

秋に種をまき、2月下旬から6月頃の春から初夏にかけて収穫される品種のキャベツです。
球の巻き方が緩めでふわっと柔らかくみずみずしいのが特徴です。
葉の色は中まで黄緑色をしています。食感がシャキシャキとして軽いため、サラダなど生のまま食べるのがオススメです。
ほんのりと優しい甘みがあるため、蒸したり軽く炒めたりしても美味しいです。ただし、葉が柔らかく火の通りが早いため短時間で仕上げたほうがいいでしょう。

高原キャベツ(夏キャベツ、夏秋キャベツ)

春から初夏の頃に種をまき、7~10月頃の夏から秋にかけて収穫される品種のキャベツです。主に群馬県の嬬恋村や長野県の八ヶ岳山麓といった高原地で栽培されていることから「高原キャベツ」と呼ばれています。
実際には寒玉キャベツを改良した品種で、寒玉キャベツと春玉キャベツの両方の特徴を持ち合わせており、珠がよく締まっているのですが葉は柔らかでみずみずしく、中まで黄緑色をしているのが特徴です。
シャキシャキした食感があるため生食に向いていますが、火を通しても型崩れしないため、煮物や炒め物にも適しています。

グリーンボール(丸玉キャベツ)

名前のとおり色鮮やかな緑色をしたキャベツです。また丸い形状から、丸玉キャベツとも呼ばれています。
葉はしっかりしていて肉厚なのに柔らかくて甘味があるのが特徴です。
寒さに弱いので、西日本では通年出回っていますが東日本で出回るのは春から秋にかけてのみです。また流通量は通常のキャベツより少なめです。
栄養価的には通常のキャベツよりも高く、カロテンはキャベツの2倍あります。
葉が柔らかいので生のサラダやスープなどに適しています。

レッドキャベツ(紫キャベツ)

葉の表面が鮮やかな紫色をしていて、茎や葉の中は真っ白なので切ったときの色のコントラストがとても美しいキャベツです。赤キャベツとも呼ばれています。
春蒔きと秋蒔きがあり、産地をリレーして通年出回っています。
アブラナ科のレッドキャベツに似たタイプとしてトレビスがありますが、そちらはレタスと同じキク科でこのレッドキャベツとはまったくの別物です。
紫色のもととなるアントシアニンは水に溶けやすいため、煮物などではなくサラダやピクルスなどがオススメです。
火を通す場合は、鮮やかな色を残すために軽くサッと炒める程度がいいでしょう。

サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)

サボイキャベツは、フランスのサヴォワ(サボイ)地方が原産とされるキャベツで、現在はフランス、イタリアを始めとするヨーロッパ各地で一般的に使用されています。日本では、葉の表面がちりめん状に縮れていることから「ちりめんキャベツ」とも呼ばれています。
旬は冬の寒い時期で主に11~3月頃に市場に出回ります。
日持ちはいいのですが、水分が少ない上に繊維が多くて固いため、生食には向いていません。加熱することでとても甘味が増し、またしっかり煮込んでも煮崩れしないのでロールキャベツやスープなどといった煮込み料理に向いています。
炒める場合は、先に軽く湯通ししてから使用した方が使いやすく食感も良くなります。

芽キャベツ


別名子持ちかんらん、または姫かんらん。英語名ブラッスルスプラウト。
通常のキャベツと同じアブラナ科ですが品種は別物です。見た目はキャベツをそのまま小さくしたような形をしていますが、通常のキャベツは土の上で葉を巻いて球状になるのに対し、芽キャベツは茎の付け根につく小さな球形の脇芽で、一つの株から複数の脇芽が実ります。

旬は冬で、11~3月頃市場に出回ります。栄養価が非常に高く、抗酸化作用の高いルテインが多く含まれており、またビタミンCやビタミンKは通常のキャベツの数倍もあります。
巻きが固く苦味やアクがあるため下茹でしてから調理します。
シチューやポトフなどの煮物、バターソテーなどの炒め物などがオススメです。

プチヴェール

プチヴェールは、ケールと芽キャベツを交配して出来た日本生まれの新種の野菜です。フランス語の小さいという意味であるプチ(Petit)と、緑という意味のヴェール(Vert)を合わせて「プチヴェール」と名付けられました。
育ち方は芽キャベツと同じように茎の脇に実がつきますが、結球する芽キャベツに対しプチヴェールは非結球で、緑色の小さなバラのような形状です。
旬は芽キャベツとほぼ同じで11~3月頃まで。
ケールと芽キャベツの良いところを受け継いでいるため、栄養価も非常に高いのも特徴の一つです。
さっと湯がいてから和えたりサラダにしたりなどがオススメです。

みさき

先端が尖ったタケノコのような形に結球するキャベツです。主な品種としては「みさき」の他に「とんがりぼうし」というものもあります。
甘みが強く、葉はやや厚めで柔らかいため生食でも食べやすいタイプです。
春蒔きや夏蒔きがあり、夏から秋にかけて収穫されます。
そのまま刻んでサラダがおすすめですが、焼いたり軽く炒めたりしても甘味が増して美味しいです。

カーボロネロ


結球しない葉キャベツの一種でケールの仲間。イタリアのトスカーナ地方が原産とされています。
色が濃緑色なことから日本では「黒キャベツ」とも呼ばれています。
葉はちぢれてしっかりとした繊維があり固いのが特徴です。

旬は11~3月頃。
ビタミンやミネラルが豊富で、通常のキャベツより全体的に栄養価が高めです。寒さが強いほど葉のおうとつが強くなりますが、その分甘味も多くなります。
煮物やスープなど、煮込む料理に向いています。またオリーブオイルとの相性もよいため、炒め物にしても美味しいです。


栄養・食養

栄養

「キャベジン」との別名を持つビタミンU

ビタミンUはキャベツの絞り汁から発見された栄養素で別の名は「キャベジン」。これは市販の胃腸薬でも使用されているように、主な働きは胃の粘膜の保護や修復、また胃酸の分泌の抑制などです。このため、胃痛を軽減したり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防する作用があります。なおビタミンUのUは、潰瘍を意味する英語「Ulcer」という頭文字からきています。

ビタミンUは水溶性のため水に溶けやすく熱で壊れやすい性質であるため、効率よく摂取するためには手早く洗って生のままサラダなどで。または、酸には強いため酢漬けにするのもオススメです。

「止血のビタミン」ビタミンK

ビタミンKは、ドイツ語の「凝固」を意味する「Koagulation」の頭文字をとって名付けられたビタミンの一種です。名前の由来からわかるように、主な働きの一つとして怪我などによる出血、または内出血などをした時に血液を凝固させる作用があることから「止血のビタミン」ともいわれています。また、骨にカルシウムが沈着するのを助けたり、骨からカルシウムが流出するのを防いだり、と骨にかかわる働きもあることから骨粗鬆症の薬にも使用されています。

脂溶性のビタミンのため、油と一緒に摂取すると吸収率がアップします。また熱に強いことから、油で炒めたり揚げ物などがオススメです。

疲労回復ビタミンのビタミンC

ビタミンCの効果はたくさんありますが、その代表的なものが疲労回復作用やストレス抑制作用、そして美肌作用です。ビタミンCの性質は水溶性なので、水に溶けやすく熱に弱いのが特徴です。

このため、出来る限り火を入れず、長時間水に漬け込まず、できれば生で食すのがオススメです。生でたくさん摂取するには、酢漬けなどにするといいですね。

抗酸化作用の高いイソチオシアネート

イソチオシアネートは辛味成分の一種で、ワサビや大根などに多く含まれていますが、実はあまり辛味を感じることないキャベツやブロッコリー、カリフラワー、白菜などといったアブラナ科の植物全般に含まれている成分です。切ったりすり下ろしたりして細胞が破壊されるときに生成され、非常に高い抗酸化作用があります。1990年代にアメリカの国立がん研究所(NCI)で実施されたデザイナーフーズ計画(Designer Foods Project)では、がん予防に効果があると考えられる野菜として、キャベツが上位にリストアップされました。

熱に弱く、また細胞が壊れるときに生成されるので、効果的に摂取するには、生のままよく咀嚼することがオススメです。

外用としての利用法

熱冷ましに

キャベツには解熱作用があるので、熱があるときにキャベツの葉を額に乗せると効果があります。

やけどに

キャベツには鎮静効果があるので、軽度のやけど(皮膚が赤くなりヒリヒリする程度)では、手で葉をよくもんで患部に貼る利用方法があります。

重度のやけど(水ぶくれがある、皮がめくれている、患部が白い/黒い、痛みの感覚がなくなる、など)では、患部の細菌感染防止が第一です。
何も塗ったり貼ったりせずに、ただちに医療機関で受診してください。

キャベツあれこれ

キャベツの名前の由来とシュークリーム

キャベツの名前の由来は、英語名「cabbage(キャベッジ)」から来ています。そしてそのcabbageのもとはフランス語の「caboche(カボッシュ)」。これは頭でっかちという意味なのだそうです。

そして、キャベツで名前といえばもう1つ。

美味しいスィーツのシュークリーム。フランス語では「シュー・ア・ラ・クレーム」といいます。「シュー」とはフランス語でいうところの「キャベツ」。直訳すると「クリームの入ったキャベツ」という意味なのだそうです。理由は見た目がキャベツに似ていたから、とか。そしてその名前から「ア・ラ」がなくなり、シュー・クレームが変化してシュークリームになりました。

なぜ玉になる?

もともとのキャベツは結球しないものでした。それが現在のような結球するようになったのは、長い年月をかけて改良されたことによります。では、どうして玉になるのでしょうか?それにはオーキシンというホルモンの働きが関係しています。

芽を出したキャベツの最初の20枚くらいまでの葉は曲がらずに普通にひらいていきます。そのあとに

新しく出て来る葉は内側に丸まったような感じで曲がって育ちます。続いてまた内側から新しい芽が外葉を押しやるような形で出てきて成長していきます。これが繰り返されることでどんどん玉になっていくのです。

  • 2020.08.15
  • 16:18

玉ねぎ(タマネギ) - Veggiepedia

分類:ヒガンバナ科ネギ属

名称:onion(英)、oignon(仏)、 タマネギ(日本)

現在、日本のみならず世界においても無くてはならない野菜の一つとしてのタマネギ。
根菜と言われていますが、正式には根ではなく葉が球形になった鱗茎(りんけい)です。
鱗茎とは地下茎の一種で、短い茎の周りに養分を貯えて多肉化した葉が重なり合い層状になった球形のことです。
タマネギの他、ニンニクやラッキョウ、ユリ、ヒガンバナなどにみられます。

もともとネギ類はユリ科に属していたのですが、APG植物分類体系では1990年代からネギ科に、そして2009年からはヒガンバナ科に分類されるようになりました。
ただし、野菜を研究している分野では、依然ユリ科としていることが多いです。

また野菜としての玉ねぎは多年草とされていますが、園芸上では一年草もしくは二年草として扱われています。

暑さに弱いのですが寒さには強く、また常温での長期保存が可能な上にさまざまな料理にも合うことから全国各地で栽培されています。
主な産地は北海道で全国の約60%を占めており、次いで佐賀、兵庫(主に淡路島)、愛知と続き、この4地域で日本のタマネギ生産量の約80%ほどが賄われています。
この4地域の栽培時期のタイミングがいい具合にずれていることから一年中リレー式で市場に流通できています。

日本で主に出回っている品種は、黄タマネギと言われるもので、辛味成分の多いタイプです。

歴史

タマネギの歴史は古く、約6千年前にはイランを中心とした中央アジアで栽培されていたと言われています。
紀元前3千年には古代エジプトに伝わって食用とされ、古代ギリシャや古代ローマでも栽培されるようになったようです。
古代エジプトでは、ピラミッドを建設する労働者に対し、大根やにんにくと一緒にタマネギが配給されていたという記録も残っています。

16世紀頃にはヨーロッパ全域に広まり、17世紀にヨーロッパ各地で栽培が開始されるとともに、アメリカへも伝わり、19世紀には中国へ渡ったとされています。

日本へは江戸時代に長崎に伝わって来たそうですが、当時は単に観賞用とされ、実際に食用として栽培が開始されたのは明治以降と言われています。
当初は一般家庭になかなか普及しなかったそうですが、コレラが流行した明治初期に「タマネギがコレラに効く」という噂が流れたことで急速に広まりました。
その後、日本の食文化が欧米化したこともあり、今では料理の食材のみにとどまらずトマトソースやデミグラスソースなどといった調味料の原材料としても欠かせない食材になっています。

種類

タマネギは大きく分けると辛いタイプと甘いタイプの2種に分類することができます。

辛いタイプのタマネギ

一般的に出回っている黄タマネギ、葉を食べる葉タマネギ、小さいサイズのペコロスなどがこのタイプです。

黄タマネギ

市場に出回っているタマネギがこの黄タマネギです。収穫後に干して表皮を乾燥させてから出荷されるため長期保存が可能です。
タマネギにはもともと辛味成分だけでなく甘味成分もしっかり含まれており、その甘さはイチゴやミニトマト並と言われています。
このため、加熱すると辛味成分が飛んで甘味成分が残るので甘く感じられるようになります。

黄タマネギのもととなる種はアメリカから「イエロー・グローブ・ダンバース」と「イエロー・ダンバース」の2品種が入ってきました。
このうち、春蒔き用の「イエロー・グローブ・ダンバース」をベースとして北海道札幌の地で栽培されたタマネギは「札幌黄」と呼ばれ、秋蒔き用の「イエロー・ダンバース」をベースとして大阪泉州の地で栽培されたタマネギは「泉州黃」と呼ばれています。

札幌黄系

「札幌黄」を元に品種改良したタマネギは、ほとんど北海道で栽培されており、主に以下のようなものがあります。

  • 極早生種
    • 北はやて2号 – 甘みが強い
  • 早生種
    • Dr.ピルシー – 辛味が少なく生食向き、病害に強い
  • 中早生種
    • パワーウルフ – 肥大がよく多収
  • 中生種
    • 北もみじ2000 – 色つやがよく貯蔵性の高い
  • 中晩生種
    • スーパー北もみじ – タマネギのスーパースターと言われ、病気に強く長期貯蔵に優れている
  • 晩生種
    • 玉灯り – 光沢があり玉揃いがよい
泉州黄系

「泉州黃」を元に品種改良されたタマネギは、北海道を除く全国で栽培されており、主に以下のようなものがあります。

  • 極早生種
    • アサヒ超極早生 – 肉厚で甘味が強くサラダ向け
  • 早生種
    • 早生ソニック – 病気に強く生食でも美味しい
  • 中生種
    • O・P黄 – 貯蔵性に優れ大玉
    • アトン – 耐病性に優れ大玉
    • ターボ – 病気に強く色艶が良い
  • 中晩生種
    • パワー – 中玉で長期貯蔵向け
  • 晩生種
    • ネオアース – 色つやがよく貯蔵性に優れている
    • ラッキー – 耐病性に優れ大玉

葉タマネギ

葉タマネギは品種の一つではなく、タマネギの玉が大きく膨らむ前の若い時期に収穫したものの総称です。
このため、さまざまな品種の葉タマネギが存在しています。
葉をつけたまま収穫しているので「葉タマネギ」と呼ばれ、1~3月の短い期間だけ市場に出回ります。

玉の部分は、甘味があり、新玉ねぎをさらにみずみずしくしたような感じなので、生のままサラダとして食すのに向いています。
また、葉の部分は、甘さがあって柔らかく、またネギ特有の香りを抑えた感じで食べやすいです。
ぬたやチヂミ、お味噌汁の具、すき焼きのネギとして、、、など、わけぎや九条ねぎと同じように使うことができます。

ペコロス

ペコロスは直径が約3~4cmの小さなタマネギのこと。
ミニサイズのタマネギなので、「プチオニオン」や「小玉ねぎ」とも呼ばれています。
特別な品種ではなく、通常のタマネギを栽培するのに比べ、より密集させて植えることで小さく育ったものです。
もともと小さい品種のものもあります。

以前は愛知県知多市が生産量のトップを占めていましたが、現在は北海道が1位になっています。
上下の部分のみカットしてそのまま使用できるので、旨味や甘味を逃さずに食べることができます。

オーブンで焼いてメインディッシュの付け合せにしたり、衣をつけてフライにしたり、シチューやカレーの具材にも最適です。またピクルスにしても美味しいです。

甘いタイプのタマネギ

生のままサラダでよく食べられている白タマネギや赤タマネギ(紫タマネギ)がこのタイプです。

白タマネギ

2~4月頃に市場に出回る極早生種のタマネギで、主に静岡県や愛知県で栽培されています。
「サラダタマネギ」や「サラダオニオン」とも呼ばれています。
ヨーロッパでは黄タマネギよりこちらの方が多く出回っています。
皮も中身も白いのが特徴です。

みずみずしくて柔らかく、生のままでもとても甘いのでサラダなど生食が向いています。
ただし、水分量が多いので日持ちはしません。

代表的な品種に、「ホワイトベアー」や「真白」などがあります。

赤タマネギ

外皮や中の皮が赤紫色のタマネギで「紫タマネギ」や「レッドオニオン」とも呼ばれています。
皮部分の赤い色はポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、サラダにするととても彩りが美しいです。

白タマネギと同様、水分が多いため日持ちはしませんが、果肉が柔らかくて辛味が少ないので、生のままサラダで食すのに向いています。

代表的な品種に「アーリーレッド」や「湘南レッド」などがあります。

新玉ねぎ

2~4月頃に出回る極早生種のタマネギです。
ほとんどは白タマネギのことを示していますが、中には早生の黄タマネギもあります。
通常黄タマネギは収穫したあといったん干して表皮を乾燥させてから出荷されますが、収穫後すぐに出荷されるものが新玉ねぎとして分類されています。

白タマネギ、黄タマネギいずれも果肉は水分が多いために柔らかくて、辛味が少なく、甘味が引き立つため加熱するよりもサラダなどの生食に向いています。

その他

ヨーロッパ産の「エシャロット」などがあります。

エシャロットは、フランス料理やイタリア料理などでよく使用される香味野菜で、日本で一般的に出回っている「エシャレット」とは別物です。
日本ではあまり栽培されておらず、ほとんどがフランスやベルギーからの輸入ものです。
形状は小タマネギに似ていて薄い皮がありますが、中身は薄い紫色と白との層状になっています。

ちなみに、日本でよく見かける「エシャレット」は、らっきょうを生食用に栽培し若いうちに収穫したものです。
「根ラッキョウ」という名前では売れないだろうということから、オシャレな商品名として「エシャレット」という名前がつけられたそうです。

当時フランスのエシャロットは日本では知られていなかったため混乱はなかったのですが、今現在ではフランスのエシャロットと判断しにくく、また日本のエシャレットをエシャロットという名で販売しているところも出てきて紛らわしくなったため、本物のエシャロットの方が「ベルギーエシャロット」と呼ばれるようになりました。

栄養・食養

栄養

注目すべき成分「アリシン」

タマネギに含まれる成分アリシンは、硫化アリル(アリル化合物)の一種でタマネギ特有の刺激臭や辛味の素です。このアリシンにはさまざまな効能があります。

アリシンは血液サラサラ成分ともいわれ、血液が固まるのを抑制する効果があります。
さらに強い抗菌・抗カビ・殺菌作用もあるため、さまざまな病原菌から体を守ってくれます。
抗酸化作用も高く、さまざまな病気のもととなる活性酸素を抑えてくれることから、生活習慣病の予防する効果もあります。

ただし、アリシンは水溶性なので水に溶け出してしまう性質があります。また熱にも弱いため加熱すると成分が失われてしまいます。
辛味を残したいときにはカットした後水にさらさずにそのまま自然放置しておくことをおすすめします。

なお、切ってから15分程置くと加熱しても成分が壊れなくなるとも言われているので、加熱する場合も15分以上置いてから調理する方がいいかもしれません。

ポリフェノールの一種ケルセチン

ケルセチンは、ポリフェノールの一種でフラボノイドに分類されている黄色い色素の成分です。タマネギの皮が褐色なのはこのケルセチンによるものです。

ケルセチンは、血液をサラサラにする作用があり、活性酸素を除去して毛細血管などを強くしてくれるため、コレステロール値を下げる作用や、血管に関係するさまざまな生活習慣病の予防にも効果的だと言われています。

また抗炎症作用もあり、関節の痛みを和らげてくれる効果もあるそうです。

タマネギはケルセチンの含有量のが最も多く、100gに40mg含まれています。
さらに、たまねぎを半日~1日ほど天日干しにすることでケルセチンの含有量が4倍にも増えるとも言われています。
ケルセチンは特にタマネギの外皮に多く、中身の20~100倍もあるため、外皮を煮出してスープやお茶として飲用するといいでしょう。

外用としての利用法

咳でつらい時に

タマネギの皮をむいて半分にカットし、咳が止まらず眠れない人の枕元に置いておくことで咳が止まる効果があるそうです。

眠れない夜に

タマネギには安眠効果があり、タマネギを薄くスライスしたものを少量枕元においておくと、ぐっすり眠れるそうです。

タマネギあれこれ

なぜタマネギを切ると涙が出る?

タマネギを切ると目が痛くなって涙が出てきます。ひどいときには鼻水まで出てくることがあります。
大量のタマネギを調理する際にはとても厄介。

実はこれは玉ねぎに含まれる「硫化アリル」という成分が関係しているからです。硫化アリルはアリシンとも言われます。
これはタマネギだけでなく長ネギやニンニクなどにも含まれているもので、独特の強い香りの素です。
タマネギを切ると細胞が傷ついて壊れ、硫化アリルが気化して空気中に放たれます。これが目や鼻に入ることで目鼻が刺激され、涙や鼻水が出るのです。

涙を防ぐ方法

簡単に言えば、硫化アリルを目や鼻に入れないようにすればいいのでゴーグルやマスクを装着すると抑えられるわけですが、それ以外としては、、、

1:調理する前にタマネギを冷やす

硫化アリルは冷やされることで気化しにくくなるので、調理する前に十分に冷やしてから切るといいです。

2:換気扇を回すなどして風通しを良くする

空気をしっかり回すことで気化した硫化アリルを早く遠くへ追いやってしまうようにするといいようです。

3:切れ味のいい包丁で切る

切れ味のいい刃物を使用すると細胞が破壊されるのが抑えられ、硫化アリルが放出される量が減少するため、刺激を少なくすることができます。

その他、火の付いたコンロの脇で切る、電子レンジで加熱する、などといった方法もあるようなので、試してみてはいかがでしょうか?

タマネギを炒めると甘くなるのは?

タマネギは辛いという印象が強いのですが、実は辛味成分(アリシン)の他に甘味成分である糖類も多く含まれています。
この糖類は生の状態でも100g 当たり5~7gもあり、一般的なトマトよりも甘く、イチゴと同じ位あるそうです。
ただ、タマネギを切ったときに辛味成分アリシンが放出され、その刺激が強すぎて甘味に勝ってしまうので、生で食べたとき辛く感じるのです。

実はこの辛味成分アリシンは熱に弱いという性質があります。このため、加熱することによりアリシンが分解されて失われ、甘味成分だけが残り、また水分も蒸発していくことで甘味が凝縮されるので甘く感じるようになるのです。

さらにじっくりと加熱することでタマネギがあめ色になりますが、これは含まれている糖が変化してカラメルになることと、糖とアミノ酸が反応してメラノイジンという成分ができるためです。
これらの成分により色が褐色化するだけでなく、コクや旨味が増し、そして香りが芳醇になるのです。

  • 2020.08.15
  • 16:17

人参(ニンジン) - Veggiepedia

分類:セリ科ニンジン属

名称:carrot(英)、carotte(仏)、 にんじん(日本)

ニンジンはセリ科ニンジン属の野菜です。
一般的には根を食べる野菜として多く出回っていますが葉も美味しくいただけます。
代表的な緑黄色野菜の一つですが、ニンジンのきれいなオレンジ色はカロテンという栄養素によるもの。
英語名のキャロットはこのカロテンを元に付けられたものです。

ニンジンが育つ適正温度は18~21℃なので本来旬は11~12月頃なのですが、日本全国の各地域の気候に合わせて栽培・収穫されていることから一年を通して市場に出回っています。
ただし、甘味や旨味、栄養成分的に見ると一番美味しい時期はやはり秋から冬にかけてになります。

ニンジンの生産量は北海道がダントツ一位で全体の約3割を占めています。
次は千葉県で生産量は全国の約2割。
北海道と千葉のみで全国のニンジンの約半数量を生産しています。

ニンジンの品種は大きく東洋系ニンジンと西洋系ニンジンの2種にわけられますが、東洋系のニンジンは栽培が難しいため、現在一般的に出回っているのは西洋系のニンジンです。

歴史

ニンジンは中央アジアのアフガニスタンで野生種が発見されていることから、アフガニスタンが原産地といわれています。
その後、10世紀頃に現在のトルコ辺りに広まり、13世紀頃に中国の方へ伝わった東洋系、ヨーロッパへ伝わった西洋系と分岐し、それぞれの土地柄に合わせて品種改良が勧められていきました。
最初に日本へ伝わったのは16世紀末ごろで中国から東洋系ニンジンが入ってきたとされています。

もともと日本で栽培されていた薬用のニンジン(朝鮮人参)と根の部分が似ていることや、葉の部分は芹に似ていることから「せりにんじん」と呼ばれました。
この頃のニンジンは多彩で、赤や黄色、紫、白といったさまざまな色のものが栽培されていたそうです。

西洋系のニンジンは、フランスで改良されていたものが19世紀末の江戸時代末期に長崎に伝来されたといわれています。

東洋系のニンジンは栽培が難しいことから徐々に生産量が減り、昭和30年代以降は西洋系のニンジンが主流となっています。

種類

ニンジンは東洋系ニンジンと西洋系ニンジンの2種に分類されます。

西洋系ニンジン

現在一般的に出回っているニンジンです。
甘みがあり、カロテンが豊富なため明るいオレンジ色をしています。
最近ではニンジン特有の臭みは品種改良によってずいぶんと緩和され、とても食べやすくなりました。

ニンジンの根の長さを元に品種分けされており9~10cmを「三寸」、12~15cm前後を「四寸」、15~20cmを「五寸」と表現されています。

五寸ニンジン(西洋五寸)

現在日本で「ニンジン」といえば、この五寸ニンジンを指すほど最も流通しているニンジンです。西洋五寸、または黒田五寸とも呼ばれています。
五寸ほど(約15~20cm)の大きさであることから五寸ニンジンと命名されました。

耐暑性や耐病性にすぐれているため栽培しやすく、また多収なのが特徴です。
形状的には根の先端が丸いものが多く、太めです。鮮やかなオレンジ色はβカロチンによるもの。
日本各地の風土や気候に合わせて品種改良を重ねられ、ニンジン特有の匂いも少なくなって食べやすくなっています。

なお五寸ニンジンは、黒田五寸の他に、暑さにも寒さにも強い「ときなし五寸」、黒田五寸より短めで肉付きの良い「新黒田五寸」、黒田五寸と並んで主力品種の「向陽二号」、低温下での生育に優れた春作専用の「いなり五寸」、早生系の「春蒔き五寸」や「あすべに五寸」などたくさんの品種があります。

三寸ニンジン

根の長さが三寸(10cm前後)ほどの短いニンジン。太くて生育が早いのが特徴です。
江戸東京野菜の一つ「馬込三寸ニンジン」、極早生の「平安三寸」、寒暖いずれの時期でも栽培可能な「時無三寸ニンジン」などがあります。

ミニキャロット

ナンテス系のにんじんで、名前が表すとおり非常にサイズが小さく大きなものでも10cm程しかありません。このためベビーキャロットとも呼ばれています。
太さは全体的に変わらず直径約1~1.5cmほどです。栄養的には通常の西洋にんじんと変わりなくベータカロテンが豊富です。

用途としても通常のニンジンと同様にシチューやポトフなどの煮物に使ったり、天ぷらなどの揚げ物、炒め物などで利用できますが、皮が薄くて肉質は柔らかく甘味も強いため、そのままバーニャカウダや野菜スティックなどサラダとして生食するのもおすすめです。

カラフルニンジン

ニンジンは通常のオレンジ色の他に、黄色や紫、白等のさまざまな色の品種もあります。

黄色ニンジン

ニンジン臭さが無く柔らかな肉質で甘味のが強いのでサラダやジュースなど生食で美味しくいただけますが、加熱するとさらに甘味が増して柔らかな味わいになるため煮たり炒めたりするのもおすすめです。

金美人参

形は五寸ニンジンによく似ていますが、色は鮮やかな明るい黄色の人参です。中国の「Chinese-Yellow」と赤色の人参「春蒔き五寸」を勾配して作られました。

イエロースティック

長さが約20cmほどの細長い形状で、色は中心部まで鮮やかなレモンイエローをした人参です。

島にんじん(チデークニー)

東洋系ニンジンの欄参照

紫ニンジン

ヨーロッパで栽培されている紫にんじんを改良した品種で糖度が非常に高いため甘味が強いニンジンです。
紫色はブルーベリーなどでも有名なポリフェノールの一種アントシアニンによるもので、通常出回っているオレンジ色のニンジンに比べ約10倍も多く含まれています。

アントシアニンは加熱すると色素が溶け出してしまうため、他の食材に色移りしてしまい、またニンジン自体の色も薄くなってしまうので、サラダやジュースなど生のまま食べることをおすすめします。

主な品種としては、「パープルスティック」や「パープルヘイズ」「ダークパープル」などがありますが、「パープルスティック」や「パープルヘイズ」はいずれも細長い形をしていて、外側は紫色で中はオレンジ色をしているタイプです。
「ダークパープル」は外側の紫色が非常に濃く、また中まで紫色が入り込んだタイプで、パープルスティックに比べて上部は太く、先は細いのが特徴です。

白人参
スノースティック

見た目は大根を小さくしたような感じで長さ20㎝ほどのニンジンです。
中まで白く、ニンジン臭は少なく甘味が強いため、野菜スティックやバーニャカウダなど生食に向いています。

パースニップ

主にイギリスを中心としたヨーロッパで食されているニンジンで、鎌倉ニンジンや白ニンジン、アメリカボウフウやオランダボウフウなどさまざまな呼び方があります。
ニンジンの香りがしっかりと感じる品種です。

独特の香りが強いことから生食にはあまり向いていません。
加熱するとさつまいもやじゃがいものようなホクホク感と甘味があり、また煮崩れしにくいので、シチューなどの煮込み料理やスープに向いています。

大長にんじん

国分大長

大正時代の中頃に、西洋系の長ニンジンを元として品種改良されたニンジン。
形状は60~80cmと非常に細長く、色は外も中も鮮紅色。緻密な肉質で香りも甘味もとても強いのが特徴です。

煮物やキンピラなど加熱する料理に向いています。

栽培に手間と時間がかかることから生産量は年々減少して、現在はお正月用に僅かに出回るのみです。

滝野川大長

江戸地代初期に日本に伝わったニンジンで、徳川吉宗が小石川薬種園に集めて滝野川大長ニンジンとなったと言われています。
色は外も中も鮮紅色。芯が細く、長さは60~70cmほど、長いものになると1mを超えるものもあるそうです。

香りが強く、肉質が締まっており、甘味も非常に強いのでお正月料理のお煮しめに向いています。

栽培が非常に難しく、とうも立ちやすいことから栽培が激減し一時期絶滅したと言われていましたが、現在、滝野川大長ニンジンと札幌大長ニンジンを交雑して生まれた「万福寺鮮紅大長人参」として栽培され、採種元である北区滝野川の日本農林社の了解を得て江戸東京野菜の名に戻したそうです。

東洋系ニンジン

先に日本に伝来したニンジンで、根が細長く、肉質が緻密で、赤や黄色などさまざまな色のニンジンがあります。
カロテンを含まないためニンジンの独特な香りが少なく、甘味が強いのが特徴です。現在栽培されている東洋系ニンジンは数少なく、とても貴重な存在になっています。

金時ニンジン

「京ニンジン」とも呼ばれているニンジンで、鮮やかな濃赤色をしています。
11~3月頃に出回りますが、お正月を過ぎるとあまり見かけなくなります。

長さはまちまちですが、だいたい30cm程で、太さは直径5~7cm程度。
五寸ニンジンと比べるととても細長い形をしています。

ニンジン臭さはあまり感じられない代わりに、金時ニンジン特有の香りがあります。
甘味が強く、柔らかい肉質をしていますが、煮崩れしにくいことから主にお正月のお煮しめ等によく使われています。
色合いが美しいため、煮物以外にもサラダやピクルスなどもおすすめです。

金時ニンジンの赤い色はリコピンによるもので、βカロテンと同様に強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去してくれます。

島にんじん(チデークニー)

耐暑性に優れた沖縄特産の黄色いニンジンで、現地では「チデークニー」と呼ばれています。
チデークニーとは沖縄の方言で黄色い大根という意味です。

出回るのは11~4月頃。30~40cmほどの長さでごぼうのように細長い形をしています。

通常のニンジンに比べて甘味が強く、またニンジン特有の臭みも感じません。
沖縄では煮物や炒め物によく使われています。

熊本長にんじん

古くから熊本で栽培されてきた熊本の伝統野菜「肥後野菜」の一つ。
ほとんどごぼうのような形状でで、長さは約50cm、長いものになると1m以上になるものもあるそうです。太さも1.5~2.5cmとかなり細身です。

その性質から栽培がとても難しく、現在では熊本の極一部でのみ作られているのみで、そのほとんどが地元で消費されています。
出回るのはだいたい12月下旬~3月頃。

通常のニンジンより赤みが強めで、ニンジン特有の香りが強いのが特徴です。
生食でもかなり甘味を感じますが、焼くと更に甘味が増します。
主にお正月料理のお煮しめやお雑煮などで使われています。

ニンジンあれこれ

にんじんに含まれる酵素「アスコルビナーゼ」

ニンジンにはアスコルビナーゼ(アスコルビン酸酸化酵素)と呼ばれる酵素が含まれています。これは、ビタミンCを破壊する酵素と言われています。ビタミンCを含む他の野菜と一緒に摂取すると、この酵素の働きによりビタミンCが損なわれることがあります。

ただアスコルビナーゼは、酸や熱に弱いため、加熱調理したり、酢やレモンなどと一緒に摂取すると酵素の働きが抑えられ、ビタミンCの破壊を防ぐことが出来ます。

と、一般的によく言われていますが、、、

通常の野菜の調理過程でビタミンCが破壊されることはほとんどないという学説があります。すり下ろしたにんじんと大根を混ぜたあと1時間ほどして調べたところ総ビタミンCはほとんど残存していた、という実験データがあり、またニンジンを含んだ野菜ジュースをしばらく放置してもビタミンCの減少はほとんど見られなかったとのデータもあるとのことです。

なので、アスコルビナーゼ(アスコルビン酸酸化酵素)の作用については、さほど神経質に考えなくてもいいのではないでしょうか?それよりも、いかに美味しくニンジンを食べるか、を気にしたいですね。

ニンジンと高麗ニンジン

高麗ニンジンと言われるニンジンは同じニンジンでもまた別物です。
現在一般的に目にしているオレンジ色のニンジンはセリ科の植物、高麗ニンジン(朝鮮ニンジン、オタネニンジン)はウコギ科の植物です。

6~7世紀頃に朝鮮半島経由で現在のニンジンより先に日本に入ってきていたことから、当初は高麗ニンジンがニンジンと呼ばれていましたが、江戸時代以降に現在のニンジンが野菜として世間で広く使われるようになり、次第にニンジンといえば現在のニンジンを指すようになりました。

ニンジンの名前の由来

ニンジン(人参)は、日本で古くから知られていた高麗ニンジンの根っこの形が人の形に似ていたことから「ニンジン(人参)」と名づけられたと言われています。

一方、16世紀頃に東洋系ニンジンが日本に伝わり、その根の部分が高麗ニンジンに、また、葉は芹に似ていたことから「芹ニンジン」と呼ばれました。
その後、芹ニンジンの方が全国的に広まりいつしか単に「にんじん」と呼ばれるようになったと言われています。

逆に薬用のニンジンはそれと区別するために高麗ニンジンと呼ばれるようになりました。

  • 2020.08.04
  • 14:02

蓮根(レンコン) - Veggiepedia

分類:スイレン科ハス属

名称:East Indian Lotusまたは Lotus root(英)、lotus(仏)、レンコン(日本)

レンコンはスイレン科ハス属で多年生の水生植物です。
ハスの根と書きますが、実際には蓮の地下茎の肥大化したものです。地下茎とは土の中に伸びる茎のことを意味します。根っこのように見えることから蓮根(蓮の根)と呼ばれています。

蓮根の旬は秋から冬の10~3月ですが、7月の下旬頃から新レンコンとして早堀りのものが出回ります。
新レンコンはアクがなくて柔らかくみずみずしさがあり、秋口から出回るレンコンはもっちりして粘りがあり甘味が強くなります。

主な生産地は茨城県で全国の出荷量の約50%強を占めており、続いては徳島県の約12%、佐賀県の約7%です。
その他、ブランドレンコンとして石川県の「加賀レンコン」、新潟県の「大口レンコン」、山口県の「岩国レンコン」などがあります。

レンコンがお正月料理やお祝いの席の料理でよく使用されるのは、穴が空いていて向こう側がよく見えることから「先を見通せる」という縁起担ぎの意味があるからです。

歴史

レンコンの歴史はエジプト原産地説、中国原産地説、インド原産地説など諸説ありますが、もともとは観賞用とされていたようです。
日本でも約2,000年前の弥生時代頃には大賀ハス(現在の千葉県千葉市で発見)や行田ハス(埼玉県行田市で発見)がすでに存在していたと言われています。

食用としては、奈良~鎌倉時代頃に中国から伝わって日本の各地に広まったと言われています。

種類

現在市場に出荷されているレンコンは、大きく分けて「中国種」と「在来種」の2種類があります。
中国種は現在市場に出回っているもので、明治時代初期に中国から入ってきたものを品種改良されたものです。
在来種は江戸時代より前に日本に入ってきたものですが、栽培に手間がかかるため現在はあまり流通されていません。

中国種

備中

明治初期の時代に中国から長崎に入り、岡山が基点となったことから備中種と呼ばれ、ここから各地に広まったといわれています。現在は徳島など関西を中心に栽培されています。
収穫時期が10月から5月までの晩生品種で台風の影響を受けやすいのが欠点ですが、品質が良いことから市場での評価も高く、現在流通しているレンコンの大半を占めています。

レンコン部分の一節一節が長くピンク色の花が咲きます。形状は長めで大きめの楕円形で、肉厚です。食感はもちもちしていて柔らかく、歯ざわりが良いのが特長です。
甘味強いので、すり下ろして団子にしたり、煮物や焼き物が美味しいです。

ロータス(ロータスホワイト)

岡山県から愛知県に入ってきたレンコンで岩国系レンコンから選抜された早生品種です。
収穫時期は8月中下旬から9月下旬。病気に強いタイプで白い花が咲きます。
一つ一つの節は備中より短めで肉質は硬くしっかりしており、日持ちもします。

シャキシャキした食感が強いため、さっと茹でてサラダにしたり和え物に向いています。
アクが少ないため、新鮮なうちは生のままでも美味しくいただけます。

オオジロ

通常は11~13節目から太くなりレンコンが出来るのに対しオオジロは4節目から太くなることから早くから収穫が可能です。このため、極早生品種といわれます。

ハウス栽培とトンネル栽培があり、ハウス栽培は6月上旬から、トンネル栽培でも7月下旬には収穫可能です。
備中に比べ耐病性が強く、白い花が咲きます。色は真っ白で、太くて丸みがあり、肉厚で穴が小さいのが特徴です。

新物特有のシャキシャキした食感があり、アクが少ないため生食でも美味しくいただけます。またサッと湯通ししてサラダにしたり酢レンコンなどにも向いています。

金澄

千葉県のレンコン生産者である金坂氏が育成した品種で、中国種と在来種(天王)のレンコンを交配させたものです。
金澄系は1985年に金澄1号が登場して以来、数々の品種が生まれ、栽培しやすく病気に強く収量も多いことから、茨城県や千葉県を中心に全国的に普及しています。
現在その中でも関東地方、特に茨城県の主要品種として栽培されているものが金澄20号です。

レンコンの収穫時期は9~11月頃でやや早めです。
形は太く短く、色が白いのが特徴です。金澄系のレンコンの食感は比較的シャキシャキしています。

支那白花

支那白花種は、石川県や山口県で栽培されているレンコンの品種です。
石川県で栽培されたレンコンは「加賀れんこん」、山口県で栽培されたレンコンは「岩国レンコン」と呼ばれています。

加賀れんこん

石川県金沢市の伝統野菜である加賀野菜の一つです。
加賀の五代藩主である前田綱紀が苗を植えたのが始まりと言われています。当時は観賞用や薬用として栽培されていましたが、明治時代以降に食用として栽培されるようになり、さまざまな品種が導入され、改良が繰り返されて現在の支那白花品種となりました。

8月下旬~翌年5月中旬まで出荷されています。形状は太くて一節一節が短く、肉厚です。

他のレンコンと比べて穴が小さくて、その分身がしまっています。
またでんぷん質が多いため粘りが非常に強く部位によってモッチリした食感とシャキシャキした食感とを持ち合わせています。

1節目は接もが少なく柔らかいのでそのままサッと湯通ししてサラダや和え物に、2~3節目はキンピラなどの炒め物や煮物、天ぷらに、4節目は繊維質やデンプンが多いのですりおろして蒸し煮にするなどといった料理に向いています。
レンコンをすり下ろしてエビや鰻などといった具材を混ぜて蒸し上げるという加賀の郷土料理「はす蒸し」でも使用されています。

岩国れんこん

江戸時代に岩国市の篤農家の村本氏が備中種を持ち帰って育てたのが始まりと言われています。その後品種改良が繰り返されて現在に至っています。

通常レンコンの穴の数は8個が主流ですが、岩国レンコンは9個あり、当時の岩国藩主吉川家の家紋である九曜の紋に似ていることからたいそう喜ばれたと言われています。
また葉は蓮の中でもかなり大きいため、乾燥させて包装紙代わりとして重宝されて痛そうです。
岩国の郷土料理「岩国寿司」にもこの蓮の葉が用いられています。

岩国レンコンは9~翌年5月上旬に収穫される晩生品種で、形状は太めの大型で肉厚で、外皮は白めで斑点が少ないためきれいな肌をしています。
また肉質は柔らかくて歯切れもよいため、輪切りにするとシャキシャキした食感が楽しめます。
また切ると腰のある粘りがあるため糸を引くことから、縦切りにしたりすりおろしたりするともっちりした食感が味わえます。
このため、和え物や煮物、焼き物や揚げ物などさまざまな料理に使用されています。

だるまれんこん(大口れんこん)

新潟県長岡市大口地区で栽培されているレンコンで、長岡の伝統野菜として指定されています。
10~3月に出荷される晩生品種です。
一節一節が丸くコロコロしていることから「だるまレンコン」と呼ばれています。
また大口地区で栽培されているレンコンなので「大口レンコン」とも呼ばれています。

栽培の始まりは大正12年ごろで、稲作に不向きだった土壌に適した作物としてレンコンが採用されたのがきっかけです。

肉厚で切り口が真っ白で、他のレンコンと異なり、火を通しても黒く変色しないのが特徴です。シャキシャキした食感があり、先端部分は特に柔らか。
また煮崩れしにくいことからキンピラなどの炒め物から揚げ物、煮物などさまざまな料理に向いています。
新潟の伝統料理であるのっぺい汁でも使用されています。

白石レンコン

白石レンコンは、佐賀県白石町で栽培されるレンコンです。
生産地が白石町なのでそこで栽培されるレンコンを総称して「白石(しろいし)レンコン」と呼ばれています。

栽培されている品種はさまざまで金澄が最も多く、その他岩国や成蹊、榎本など12~13種ほどです。
7~9月に収穫される早生のレンコンはシャキシャキした食感が、10月以降に収穫はホクホクでもっちりした食感が楽しめます。

また、白石レンコンの特徴は泥付きで出荷されること。
水分や養分を含んだきめ細かな土をまとったまま出荷することで日持ちも良くなり、収穫したてに近い鮮度が保たれた状態で関東や関西地方へ届けられています。

在来種

色はわずかに茶色っぽい色で細長い形をしています。
中国種のレンコンに比べて粘りが強く切ると糸を引きます。
味は濃くて肉質は柔らかいのが特徴です。
品種としては「天王」や「上総」があります。

レンコンあれこれ

関東 vs. 関西

レンコンは、関東ではレンコン、関西ではハスと呼ばれます。

さらに、関東と関西では食感好みにも違いがあり、関東ではシャキシャキした歯切れのいい食感が、関西ではホクホクねっとりした芋のような食感が好まれます。
このため一般的に関東では金澄系の丸くて太いものが、関西は備中系の細くて長いものが多く出回っています。

レンコンの穴

レンコンの穴は、レンコンが呼吸するための空気の通り道です。
レンコンは水の中で育ちます。水底の泥の中に含まれる酸素の量が少ないため、葉から地下茎やレンコンである地下肥大茎に水の外から空気を送る必要があります。
その空気の通り道(通気孔)として穴が空いています。

穴の数は、レンコンの太さや大きさに変わらず基本的に同じで、真ん中に1個、周りの穴は子レンコンで7~9個、親レンコンで9個です。

レンコンの部位

レンコンの部位によって食感が異なります。
このため、使用する場所に合わせて使い分けて調理したほうがより美味しさを味わえます。

レンコンはお尻の部分の方が先に生えてきた部分なので水分がすくなく繊維質も多くなるために硬く、後から生えてくる先端部分の方(芽がついている方)が、水分が多くて柔らかく、シャキシャキ感があります。

このため、一節目の柔らかい先端部分は、シャキシャキ感を楽しむために酢の物やサラダに、真ん中の2節目~3節目あたりは甘味を楽しむために煮物や天ぷらなどに、お尻の硬めの節の部分は粘度がありもっちりしているので刻んだりすり下ろして使う料理に使用するのがおすすめです。

  • 2020.08.04
  • 14:02

大根(ダイコン) - Veggiepedia

分類:アブラナ科ダイコン属

名称:Radish(英語)、Radis(仏)、大根(日本)

大根はアブラナ科ダイコン属の一年草で、春の七草の一つである「すずしろ」として親しまれています。日本でも古くから各地で様々な品種を栽培してきましたが、現在は「青首大根」と「白首大根」の2品種が中心となっています。

歴史

原産地については諸説ありますが、地中海沿岸から中央アジアと言われ、紀元前3000~2000年頃にはエジプトで食され、紀元前500年頃には中国で栽培されていたようです。

ヨーロッパ諸国では15~16世紀頃に栽培が始まり、日本へは中国・朝鮮半島を経由して縄文・弥生時代頃に伝わって来たといわれています。
古事記に「於朋泥(おほね)」として記されており、仁徳天皇陵から大根の種子が発見されているそうです。おほねとは根が大きいという意味で、のちに「大根」という漢字があてられて室町時代以降に現在の「ダイコン」と呼ばれるようになりました。

本格的に栽培されるようになったのは江戸時代以降で日本各地で様々な品種も誕生しました。
主要品種が絞り込まれたのは戦後からで、白首大根の”練馬”、”早生”、青首大根の”宮重”の三種に集約し、その後1970年後半以降流通している大根は白首大根から青首大根が主流となりました。

品種

現在日本で栽培されている大根は100品種以上あります。

青首大根

現在市場に一番多く出回っている大根で、生産量は大根全体の約90%以上を占めています。「宮重大根」を品種改良した「対病総太り(たいびょうそうぶどり)」という種類で、1970年代から流通の中心となりました。太さが均一で細長いのが特徴で、地上に出ている首の部分が緑色になることから「青首」といわれます。
名前に由来するとおり耐病性があるうえ、みずみずしく甘みが強いので多くの人に好まれ、また収穫時に抜きやすいこともあって全国各地で栽培されています。

加熱しても煮崩れしにくく、大根おろしにしても辛味が少ないため、 煮物や漬物、サラダや大根おろしなど、さまざまな料理に向いています。

白首大根

古くから栽培されてきた大根で、根がすべて白色なのが特徴です。
三浦大根や練馬大根、みの早生大根などで知られ、漬物用などで多く使用されています。

三浦大根

神奈川県三浦で生まれた品種で、真ん中が太く首の部分まで白い大根。
長年に渡って「大根といえば三浦大根」と言われるほどの主力な存在でしたが、昭和54年の台風で大被害を受けたのを機に、病気に強くて栽培しやすい青首大根に首位の座を奪われました。

しかし今でも三浦大根の人気は根強く、冬には直売所などに買い求めに集まる方がとても多いため、一時期激減した栽培も近年徐々に増えてきています。

青首大根より肉質は緻密で水分が非常に多くジューシー。
辛味も甘味も苦味も強く、煮崩れしにくく、加熱すると苦味が旨味に変わり甘みが出るため風呂吹きやおでんなどによく使われます。
その他、なますやツマにも向いています。

練馬大根

練馬地方を中心に栽培されてきた白首大根。
大きく2品種に分かれ「練馬尻細大根」と「練馬秋づまり大根」があります。

練馬尻細大根は水分が少なくて皮が薄く乾きやすいことから干して沢庵漬けに、練馬秋づまり大根は水分が豊富で甘味が強く肉質が柔らいので煮物やべったら漬けなどに使われます。
長さが70~100cmにもなり、真ん中が太めで上部と下部は細く、葉が大きく広がっているのが特徴です。

みの早生大根

夏の暑さに強い大根で、生産時期も長く3~10月まで「春まき美濃」「黒葉美濃」「美濃つまり」など、数10種に及ぶ品種が出回っています。
中でも「志村みの早生大根」は江戸東京野菜として多く栽培されていた大根で、江戸時代に板橋区志村町のみのきちという人が栽培を始め、早生大根だったことから「みの早生大根」と呼ばれるようになりました。
練馬大根から選別されたとされています。

かつては多く栽培されていましたが、病気に弱いことから生産量が激減し、昭和40~50年頃には消滅してしまったそうです。
現在は地元の農家の方々が本格的に復活を目指して取り組んでいます。

形状は、根が45~60cm、直径が6~8cmで、青首大根より少し細く、辛味があり甘味が少ないのが特徴です。大根おろしにして蕎麦の薬味にしたり、漬物などに向いています。

亀戸大根

東京の江東区亀戸が原産の大根で1861~1864年頃栽培が始められた江戸東京野菜の一つ。
明治の頃は「おかめ大根」や「お多福大根」と呼ばれていましたが、その後生産地の名前「亀戸」大根と呼ばれるようになりました。
昭和初期まで盛んに栽培されていましたが、住宅化が進んだことにより現在では江戸川区や葛飾区などで少量が栽培される程度となり、ほとんど市場に出回らなくなっています。

根はきめ細かく美しいほど真っ白、茎までも白く、葉は大きく柔らかいのが特徴です。
見た目は細長いカブのようで、長さ約30㎝程度の春大根です。
通常の大根によりビタミンCの含有量が2倍以上もあります。
ほどよい辛味があるため漬物に向いています。

源助大根

加賀野菜の一つ。愛知県の篤農家井上源助氏が育成した「源助総太」という大根を、金沢市の篤農家松本佐一郎氏が打木大根の自然交雑したものを繰り返し選抜育成してできた品種。
生育が旺盛で病気にかかりにくいのが特徴ですが、スが入りやすく空洞症が発生しやすいことから、青首大根に取って代わられ、絶滅しかけた時期もありました。
現在は伝統野菜ブームに乗って生産者が徐々に増えてきています。

形状は太く短くやや小ぶり。スベスベした白い肌が特徴です。
緻密な肉質で柔らかい上に甘味が強く煮崩れしにくいため、煮物によく利用されています。
また金沢の伝統料理である大根寿司にも使われます。

聖護院大根

京都の伝統野菜の一つ。京都市左京区聖護院で古くから京都で栽培されていた丸形の大根と、尾張の国の宮重大根とを交雑してできました。
もとは長い大根だったのが京都の地で栽培されているうちに丸くなったといわれています。

形状は約1~2㎏の丸型で、甘味が強く、肉質が非常に柔らかいのに煮崩れしにくく味も染みやすいので煮物や漬物に向いています。
京都銘産の一つにこの聖護院大根で作った千枚漬けがあります。
甘味が強いのでスライスやスティックサラダもおすすめ。
ただし水分が多いため大根おろしには向いていません。

桜島大根

鹿児島県の特産物で、水はけの良い桜島の火山灰で栽培されていることから「桜島大根」と呼ばれます。
世界最大の大根で、ギネスブックにも認定されています。重さ通常は6kg程度ですが大きなものになると20kg以上にもなります。

一般的な大根よりきめが細かく繊維が少なく甘みがあり煮崩れもしにくいことから、大根おろしなどの生食の以外にも、ふろふき大根やぶり大根などの煮物や鍋料理などに向いています。
通常の青首大根などと比べて滑らかな舌触りが特長です。現在は栽培された桜島大根の 8 割が、切干大根や漬物などの加工品として使われることが多くなっています。

守口大根

もともと大阪の守口で栽培されていた大根で、現在は愛知県や岐阜県の木曽川沿いで栽培されています。

守口大根の由来は幾つかあり、1つは大阪の天満宮付近で栽培されていた細長い大根(宮前大根)が漬物に使用されており、豊臣秀吉がこれに「守口漬」と名付けたことから守口大根と呼ばれるようになったものです。
この守口大根は住宅化が進んだ影響で栽培が途絶えてしまいましたが、近年試験的に栽培が開始され、平成19年になにわの伝統野菜になり、現在守口市で特産品にすべく取り組みが勧められています。
もう1つは、美農の国の長良川沿いで栽培されてい美濃干大根などの細長い大根が明治時代になってから大阪の守口大根に変わって守口漬に利用されたことからこちらも守口大根と呼ばれるようになりました。

大根の品種の中でもっとも長く、根の長さは1m以上、太さは2~3cmとごぼうのように非常に細長いのが特徴です。世界一長い大根としてギネスブックにも認定されています。

繊維質が多く辛味が強いため生食用としては適さず、主に守口漬けという漬物用として栽培されています。

祝大根(いわいだいこん)

古くから奈良で栽培されている大和の伝統野菜です。雑煮大根ともいわれます。
奈良を中心とした関西のお雑煮に使用される細くて小さい大根です。
奈良県奈良市奈良坂町で大正時代の終わりごろから栽培され始めたといわれています。
現在の主な産地は、滋賀県や岐阜県、京都府等の関西地域です。

太さ3cmほど、長さ20~30cmの細くて小さい大根です。
透き通るような白い肌と緻密な肉質で煮崩れしにくいことから、雑煮の他に煮しめにも使用されます。
奈良県や京都での雑煮は白味噌仕立てで、丸餅、金時人参、里芋、角を落とした豆腐、祝大根などがすべて角がないように丸のまま、または輪切りにします。
これには「角が立たず家族円満に過ごせますように」との願いが込められていることから、輪切りにしたときに適切な大きさになるようこの大根が育てられているのだそうです。

辛味大根

辛味大根 とは辛味が強い大根の総称です。
通常の大根より小ぶりで水分が少ないのが特徴です。
いくつか種類がありますが、それぞれ大根おろしにして蕎麦やうどんの薬味として食すのが一般的で、煮物には不向きです。
辛味成分はアリルイソチオシアネートといわれるものです。アリル芥子油とも呼ばれています。
すりおろすことで生成され、空気に触れることで辛味が増します。強い抗菌作用や殺菌作用、食欲増進と消化促進作用などがあります。

からいね大根

その名のとおり極めて辛い大根。肉質はとても硬く水分が少ないため薬味に最適です。
また貯蔵性が高く、長期保存できます。
赤と白の二種類があり、太さ約6~10cm、長さ約10~15cmです。赤い方は鮮やかな鮮紅色で皮ごとおろすと色が際立ちます。

カザフ辛味大根

カザフスタン共和国から導入された種子を育成した品種なのでカザフ辛味大根といいます。
直径約10cm程度の丸型、上部は鮮やかなグリーン、下部は純白で辛味が強いのが特徴です。
中身も外側の色と同じように上部の緑の部分は中も薄い緑色です。
微かにわさびのような香りがあります。
皮に近い部分の方が辛味が強く水分も少ないので、皮ごとおろして薬味や大根おろしに最適です。
辛味大根の中では辛味が穏やかなので、生のままサラダに使うことも出来ます。

京都の辛味大根

京都の伝統野菜の一つ。京都市北区大北山(原谷)が原産で、元禄・宝永時代頃から現在の北区鷹峯で栽培されてきたといわれています。
形状は根、茎、葉とも小カブによく似ていてサイズも小さく、直径は3~5cm程しかありません。
水分が非常に少なく、おろしても汁が出ないことから、出汁の味が薄まらないのでそばつゆの薬味として使用される他、脂身の多い魚との相性もよいのでトロなどと一緒に食されることもあります。
主に12~1月頃に出荷されるので年越しそばへの需要が多かったのですが、生産者が激減していることから、今では希少価値の高い大根となっています。

伊吹大根

滋賀県坂田郡伊吹町の野菜で、近江の伝統野菜の一つ。生産者が徐々に減り一時は絶滅寸前までになりましたが、道の駅のオープンをきっかけに伊吹の名の付く特産として復活しました。

葉は赤紫色で、根の部分は太く短く丸みがあり、先端はネズミの尻尾のように細長いことから、地元では「ねずみ大根」とも呼ばれていました。(信州長野のねずみ大根とは別の品種。)

青首大根より水分が少なくて実が固く煮崩れしにくいため煮物にもよく使われます。

ねずみ大根

こちらも伊吹大根と同様に近江の伝統野菜の一つで、滋賀県草津市北山田地区に古くから作られてきた野菜です。

お尻の部分が少し膨らんでいて根の先が細長く伸び、まるでネズミの尻尾のようだということから「山田ねずみ大根」という名になったそうです。残念なことに、近年は漬物の需要が減少していることや、生産者の高齢化、量産に向かない品種などといったことから生産量が激減している状況となっています。

大根の形状は、首の部分まで色白で極めが細かいのが特徴です。また、よく締まった柔らな肉質でパリッとした上品な歯ざわりです。

山田ねずみ大根は漬物とされることが多いのですが、辛味が比較的穏やかなので、漬物以外にも薬味や大根おろし、サラダや煮物など、幅広く利用できます。

親田辛味大根

産地は長野県下條村ですが、下條村内の親田地区でしか栽培できないといわれている幻の大根です。江戸時代に尾張徳川家に献上された記録が残されており、約300年ほどの歴史があります。

カブのような丸型の大根で、太さ6~9cm、重さ200~250g程度。緻密な肉質で水分が少ないため貯蔵性に富み、また青首大根より辛味成分のイソチオシアネートが約4倍、ビタミンCも2~3倍と栄養面でも優れています。

白い物と紫色の物があり、白い物は「ごくらくがらみ」紫の物は「とやねがらみ」と呼ばれています。

辛味だけでなく大根特有の甘みもあるため、主におろしとして使われ、薬味として蕎麦や焼き魚、餅、焼肉、天ぷら等に添えられます。中でも蕎麦との相性は抜群です。

カラフル大根

紅/紫

大根の中でも赤や紫色をしたタイプ。この色は赤ワインなどにも含まれているポリフェノールの一種アントシアニンによるもので、強い抗酸化作用があることから活性酸素を除去する働きがあります。加熱すると色が抜け落ちてしまいます。酢の力を利用することでより鮮明な赤(紫)色に変化するため酢漬けなどがおすすめです。

外皮が赤く、中も外皮と同じ色が混じったタイプ くれない総太り大根、紅しぐれ大根など
外皮も中も赤いタイプ 紅くるり大根など
外皮は赤いが、中が白いタイプ レディサラダ大根、紅化粧大根、ミラノ大根など
外皮は白いが、中が赤いタイプ 青皮紅芯大根、紫大根など
くれない総太り大根(紅大根)

外皮が赤く、中の部分も白の中に外皮と同じ紅色が混じっているタイプ。
肉質は緻密で甘味があります。

紅くるり大根

外皮だけでなく、中も鮮やかな紅色をしているのが特徴です。
青首大根よりアントシアニンの含有量が約3倍も多いため、強い抗酸化作用があります。
また通常の大根のようなシャキシャキした食感とみずみずしさがあります。
色落ちしにくいのでグリルなどもおすすめです。

紅しぐれ大根

名前は「紅」しぐれですが紫色をした大根です。
くれない総太り大根のように外皮が紫色で、中も白の中に紫が入っています。
辛味はあまりなく甘味があります。
大根おろしにするとほんのり紫色をしていてとても綺麗です。


青皮紅芯大根(紅芯大根)

中国原産の大根。大きめのカブのような丸型で、外皮は白緑色ですが、中は鮮やかな赤い色をしています。
中国では「心里美(シンリメイ)」とも呼ばれ、フルーツ代わりに食されていたそうです。
肉質は緻密でシャキシャキとした食感、辛味が少なく甘みが強いのが特徴です。

レディーサラダ

神奈川県三浦市で栽培されている大根で三浦市の特産の一つ。生食用に開発されたサラダ用大根。
外皮は赤色ですが、中は通常の大根と同様に白色です。
形状は通常の大根を小さくした感じで、大きさ的には300~500g程度の小ぶりです。

紅化粧大根

サラダ用に開発された大根のため「サラダ赤大根」とも呼ばれています。
外皮は赤いのですが、中身は通常の大根と同じような純白色です。
形状は通常の大根を小さくしたような感じで、大きさ的には約20~25cm程度と小ぶりです。
辛味はほとんど無く、ほんのりと甘みのある大根です。

ミラノ大根

イタリアで栽培されている品種を国内の種屋さんが販売している品種。
形状はにんじんに類似していて、大きさはニンジンより少々大きめの20cm前後。
外皮は薄い紫色のものから黒に近い青紫色のものまであり、中は通常の大根や紅化粧大根、レディーサラダと同様に白色です。

水分が少なく青首大根より緻密な肉質で辛味が少々強めです。
皮が紫色なので大根おろしにすると薄紫のおろしになりとても綺麗です。

黒大根(黒長大根)、黒丸大根

日本ではまだ珍しく、主にヨーロッパで一般的に使用されています。
代表的なものとして、黒大根(黒長大根)と黒丸大根があります。
黒大根は通常の大根を小さくした形で長さは20cm程度、黒丸大根はカブのように丸型で大きさは直径8~10cm程度です。

いずれも外皮は黒色でガサつきのある感じですが、中は純白色で水分が少なく緻密な肉質です。
辛味は青首大根より強く辛味大根より控えめです。
またこの辛味は加熱することで甘味に変わるため、焼いたり揚げたりする料理にも向いています。

ビタミン大根(青長大根)

中国原産の大根で、根は地中にあまり深く伸びずに地上に出ている部分が多いため、先端部分以外は緑色をしています。
中の部分も薄い緑色で、通常の大根よりビタミンが豊富なことからビタミン大根と呼ばれています。
大きさは20~30cm程と太めなのが特徴です。

全体的に辛味が少なく、緑色の部分は甘味が強いため、サラダや漬物など生食に向いています。


ラディッシュ(二十日大根、ラレシ)

カブのように見えますが、ヨーロッパが原産地の西洋大根の一種。英語名はRadish。
青首大根の英語名と同じで紛らわしいことから青首大根を Japanese Radish と呼ぶこともあります。

和名は約二十日ほどで収穫できることから二十日大根といいます。

世界で一番小さい大根で、大根の祖先ともいわれ、現在の大根は長年かけてラディッシュを品種改良したものだそうです。
ラディッシュの歴史はかなり古く、ローマ帝国時代や古代エジプト時代から食されていたと記録されています。
日本に伝わってきたのは明治時代といわれています。

形状は直径約2~3cm程度の丸型で市場によく出回っているのは皮の色が赤で中身が白いタイプですが、その他白玉、紫玉、赤長、白長などがあります。
彩りが綺麗でカリッとした食感が爽やかなことからサラダなど生食で利用されることが多いです。

  • 2020.07.28
  • 14:48

実践的!野菜の旬の覚え方

この記事は ビオシェルジュの業務用注文サイト から転載したものです。
ご家庭でも参考にしていただける情報がたくさんございますので、ぜひご覧ください!

旬の食材は、栄養豊富で、仕入れ値も抑えられ、そして何より美味しいですね!
季節感のあるメニューを組むためにも、個々の食材の旬を知っておくのは大事です。

とは言え、この世にゴマンと存在する食材、全部のシーズンを覚えるなんて、なかなかできません。野菜については私たち八百屋に聞いていただくと良いのですが、やっぱり新メニューを考え出そうという時には、ボンヤリとでも頭に入っている方がいいですよね。

そこで「実践的!野菜の保存法」に続く「ざっくり、でも効果的」シリーズとして、野菜の旬の覚え方をご紹介します。実は野菜に限って言うと、そんなに難しい話ではありません。いくつかのポイントを押さえれば大半の野菜をカバーできますので、見ていきましょう。

そもそも「野菜の旬」って?

しゅん【旬】

[名] 魚介類や蔬菜 (そさい) ・果物などの、最も味のよい出盛りの時期。「旬の魚」「たけのこの旬」

出典:デジタル大辞泉(小学館)

基本の法則

野菜の旬について、押さえるべき最初のポイントは

  • 多くの野菜は、発芽→成長→開花→結実(種)のサイクルを、1年に1回行う
  • 本来のサイクル(季節)で生育した野菜が一番美味しい(=旬)である

わかっている方には当たり前すぎて、すみません… 読み飛ばして次の章に進んでください。
ただ現在は、品種改良だったり、ハウス栽培だったり、輸入だったり、様々な技術の進歩により、どんな野菜でも1年中仕入れることができます。(オーガニックにこだわらなければ)
野菜の季節とか旬の話が本当にわかりにくくなっているので、ここから話を始めさせてください。

植物の一生

ほとんどの野菜は、発芽から結実、種・芋・球根などの形で子孫を残すという「植物としての一生」を1年に1回行います。
ただ食材として考えると「植物としての一生」を最後まで過ごせなくても「葉っぱだけ食べるから、花が咲く前に冬が来て枯れてもOK」とか、極端な場合はベビーリーフのように「発芽さえすればいいや」という事情があるので、本来の季節以外にも種播きして収穫し、年に何回も出荷されているのです。

でも野菜だって生き物、それぞれの季節に適合して自然を生き残って来た種族なわけですから、植物種の本来のサイクルで栽培した方が、当然ながら病害虫にも強く、収穫量が多く、栄養も充実して、美味しくなります。
このタイミングで収穫したものが「旬の野菜」です。

そう考えると、野菜の旬を知るというのは、植物としての元々の生態を知ることでもあります。実は、そんなにパターンは多くありませんので、覚えるのは難しくありません。
次の章から分類して見ていきましょう。

基本の補足

野菜といえば「新鮮な」と枕詞を付けたくなるくらいですが、品目によっては、長期保存可能で保存中も味が落ちないものや、一定期間以上保存した方が、より美味しくなるものもあります。
そういう野菜は、収穫期ではなく、収穫の数ヶ月後に旬が来るものもありますので、注意してください。
該当するものは、記事の中でも記載していきます。

また中には、発芽→成長→開花→結実(種)のサイクルに1年以上の時間をかける野菜もあります。
ただ、数は多くありませんし、そういうものは例外として覚えましょう。だいたいは、普段あまり目にしない野菜ですので、余力があれば覚える、ぐらいで充分です。

ついでに覚えよう

野菜の旬を知るために、植物としての本来の生態を知るのでしたら、ついでに

  • 食べているのは、植物のどの部分?
  • 収穫時期は「植物としての一生」の中では、序盤?中盤?終盤?

も見ておきましょう。そうすれば、それぞれの野菜が、年に何回、どういう季節に栽培されるか、分かりやすくなります。
そこを分かっていれば、旬の季節以外にも「この野菜は通年ある?いつ途切れる?」とか「不作で高騰してるけど、いつになったら安くなりそう?」とか見えてくるようになります。

それに「○○の旬=春」という情報だけ覚えようとするのは、まるで英単語だけを暗記するように、難しいいものです。背景やストーリーと一緒に見た方が、頭に残りますよね。

というわけで、野菜の生態と旬のお話、ここから具体的に見ていきましょう。

実物野菜

野菜の形で分類しながら、生態と旬を見ていきましょう。まずは、覚えやすい実物野菜から。

基本は夏〜秋

トマト、ナス、キュウリなどの「実」を食べる野菜は、簡単です。
ほとんどが春に露地に植えつけられ、夏〜秋に実が生ります。

つまり、旬は夏〜秋です。

例外の早熟タイプ:青い豆は初夏〜初秋

きぬさや、インゲン、スナップエンドウなどは、本来は秋に種として実る豆を、未熟な状態で食べるものです。

旬は一般的な実物より早めの初夏〜初秋です。

実(豆の鞘)が出来始めの柔らかい時期だけを食べるもので、出荷できる期間が短いのも特徴です。1ヶ月も続かない場合が多いので、出荷が始まってから味見していると、メニュー化する前にシーズンが終わってしまいます。
実績のある農家さん、卸業者を信頼して仕入れるのをオススメします。

例外の熟成タイプ:カボチャは秋〜冬

カボチャも他の実物野菜と同様、春に植え付けて夏に収穫しますが、収穫直後は甘みが少なく美味しくありません。
1ヶ月ほど貯蔵することでデンプンが糖に分解され、甘いカボチャになります。

長期保存が可能ですので、旬は秋〜冬です。

根物野菜

実物に続いて根物です。大きく芋類と、根そのものを食べる野菜に分けられます。
長期保存が可能ですので、美味しく食べられる期間は長いです。

芋類:基本は秋〜冬

根物野菜でも芋類は簡単です。里芋、長芋など多くの品目は、栽培期間が6ヶ月ぐらいと長く、春に植え、夏に成長し、秋に地上部が枯れてから、地下の芋を収穫するというサイクルです。

収穫後は、長期保存ができるので、旬は秋〜冬です。

ジャガイモは、芋類の中でも栽培期間が3〜4ヶ月と短く、暖かい地域では「早春植え→初夏収穫」と「初秋植え→年末収穫」の二期作が行われています。ただ、ジャガイモの原産地は寒い地域であり、日本では北海道で夏に栽培し、秋に収穫するものが、本来の生態に近い育ち方です。また、全国のジャガイモ生産の7割は北海道です。

よって、やはりジャガイモも、秋〜冬に旬を迎えます。

芋類:例外の熟成タイプ:サツマイモは冬〜春

サツマイモも秋に収穫しますが、収穫直後は、それほど甘くありません。貯蔵するうちに、内部のデンプンが糖に分解されて、次第に甘みを増していきます。美味しく食べられるようになるのは初冬以降です。

秋の芋掘り体験イベントなどでは、掘りたてを焼芋にしたくなりますが、少し前に掘っておいた芋を出してもらう方がいいでしょう。

旬は冬〜春です。

春まで保存されたものは、とても甘く美味しくなります。ただ、サツマイモは低温と乾燥に弱く、保存するには専用の設備が必要なため、サツマイモが得意な生産者、卸売業者から仕入れることをオススメします。

根の野菜:基本は冬〜春

ニンジン、大根、カブ、ビーツなど、肥大した根を食べる野菜は、栽培期間は3〜4ヶ月の品目が多く、

  • 年明けに種蒔き→初夏に収穫
  • 夏の終わりに種蒔き→冬に収穫

という二期作が一般的です。

セリ科のニンジン、アブラナ科の大根、カブ、ヒユ科のビーツ、いずれも「夏播き→秋〜冬成長→翌春に開花→初夏に種」が本来の生態であり、冬に収穫するものの方が美味しいです。

長期保存ができるので、旬は冬〜春です。

例外の玉ねぎ:品種いろいろ

玉ねぎは品種によって時期が異なり、少し複雑です。

普通の玉ねぎ:夏〜翌年春

市場に出回るのは、夏〜翌年春です。

新玉ねぎ、白玉ねぎ:春〜初夏

水分が多いため乾燥や保存には向かず、収穫直後の春が旬です。
辛味が少なくサラダで食べやすい新玉ねぎは、春だけの楽しみです。

赤玉ねぎ:初夏〜初秋

味、食感は新玉ねぎと似ています。
彩りが美しいですが、加熱すると赤色が抜けるので、その意味でもサラダ向きです。

中生種や中晩生種には、赤玉ねぎ以外に、普通の黄色い玉ねぎもあり、初夏に出回ります。

葉物野菜

実物と根物は「基本」と少々の「例外」を覚えれば済みますが、葉物はバリエーションが多いです。それでもいくつかのパターンに分けられますので、ちょっと頑張って覚えてみましょう。

菜っ葉タイプ:冬

小松菜、ホウレン草、水菜など、店頭では30cmぐらいの袋で売られているものです。

本来なら高さ1m以上に成長し、花を咲かせ、種を実らせる植物ですが、私達が食べているのは、成長初期のごく若い段階で収穫したものです。
芽が出てから1〜2ヶ月で収穫できるので、露地でも真夏や真冬以外は栽培可能、ハウス栽培も入れると、ほぼ一年中、出荷されています。

植物種としての本来の姿は、秋に発芽して冬に成長し、春〜初夏に種が実るというサイクルですので、冬が旬となります。

結球タイプ

キャベツ、白菜、レタスなど玉の野菜です。

芽が出てしばらくは菜っ葉のように育ちますが、やがて葉が巻いてきて玉になります。つまり、菜っ葉タイプより生育が進んだ状態を食べている野菜です。本来の季節に栽培され、結球したものを収穫せずに少し畑に置いておくと、真ん中が割れてトウが立ち、花が咲きます。

種播きから収穫までは数ヶ月かかります(品種により差があります)

キャベツ、白菜:冬

キャベツ、白菜は、主に春播き、夏播きの2パターンで栽培されます。(キャベツは秋播きでも栽培されます)
本来の生態は、夏播き→初冬結球→春開花→初夏採種、というサイクルです。

旬は冬になります。

レタス:初夏

レタスは春播きと夏播きの2パターンで栽培されます。
キク科のレタスは、アブラナ科のキャベツ、白菜と異なり、春播き→初夏結球→夏開花→秋採種が本来のサイクルです。

旬は初夏です。

花芽タイプ:冬〜早春

菜花、ブロッコリー、カリフラワーなどです。

菜っ葉タイプ、結球タイプより、さらに生育が進んだ状態、花の蕾を食べる野菜で、それだけに栽培には時間がかかります。産地でも、露地では年に2回の栽培が限界です。主に晩夏〜秋に種播きをします。早めに播くと年末に収穫、遅めに播くと翌年春に収穫となります。
ブロッコリー、カリフラワーだと、1〜2月からハウスに播き、5〜6月に収穫するパターンもあります。

秋に発芽し、翌年春に開花、初夏に種が実るのが本来のサイクルですので、最も味が乗るのは冬〜早春に出荷されるものです。

旬は2〜3月です。

ネギ:冬〜早春

ネギは大きく「葉ネギ」と「長ネギ」に分けられ、育て方も栽培期間も違うのですが、植物本来の性質は似ていて、春に花(いわゆるネギ坊主)を付け、初夏に種を作ります。

旬は花の前、冬から早春までです。

暑い地域原産の葉物:夏

モロヘイヤ、空芯菜、ツルムラサキなどです。

原産地が熱帯などの暑い地域で、日本では夏だけ栽培できる葉物です。
品目は少なく、東南アジアや中東の料理で使われるイメージが強い野菜が多いので、覚えやすいです。

もちろん、旬は夏です。

山菜・新芽の野菜:春〜初夏

フキノトウ、ワラビ、タラの芽など「山菜」と呼ばれる野菜は、植物の新芽の柔らかいものだけを食べます。タケノコもそうですね。

収穫できるのは芽吹きの季節・春〜初夏だけで、旬も春〜初夏です。

アスパラガスも、食べているのは新芽の部分です。放っておくと高さ2m近く、まるで木のような形に成長します。

こちらも旬は春〜初夏です。

まとめ

最後に図にまとめてみます。

野菜の旬まとめ

ちょっと乱暴ですが、ざっくり、こんなイメージで頭に入れておくと、覚えやすいと思いますので、ご参考になりましたら幸いです。

もちろん、旬の時期以外にも、野菜は栽培・出荷されています。
あえて旬の時期以外の野菜、たとえば辛みの強い夏大根、柔らかい春キャベツなど、その特徴を活かした料理での使い方もありますし、好みもありますので、様々な季節の味を楽しんでみてください!

  • 2020.06.26
  • 15:04

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